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バズったフグ ~フグの水吐き(吹き)行動~

 

 マスコミの方から、「最近のバズっているフグについてお聞きしたいのですが」と問い合わせがありました。どうもバズるとは、流行しているということのようで、今SNSなどで話題になっている「水を吐くフグ」について聞きたいとのことでした。そこで、今回はフグが水を吐くことについての話をしたいと思います。

 

 話題になったのは、膨らんだトラフグを水面から上にあげ、口から水を吐き出している画像でした。これは、体を膨らませるために大量の水を飲み込んだトラフグが、その水を吐き戻している状態です。フグ科、ハリセンボン科魚類は、水を飲み込むことで胃が大きく膨らみます。トラフグの場合は、自身の体重の2倍の水を飲み込むことができると言われているので、個体差はあるとは思いますが、5kgのトラフグだと、約10kgの水を飲み込むことができるようです。ちなみにハリセンボンは2~2.7倍、ケショウフグは約7倍の水を飲み込むようです。

 

 吸い込んだ水はどうなるのでしょうか。おしっこで出るというわけではなく、口から吐き戻します。これが話題になった画像の状態です。体重の倍ほどの水が口から一気に出るのですから、かなり勢いがあります。通常この吐き戻す行動は水中で行うため、注意して見ないと吐き戻しているのに気づかないかもしれません。

 

 

 では、それ以外に水を吐くことはないのでしょうか。実は、「吐く」というより意識して「吹く」ことがあります。海響館の水槽の底には砂が敷いてあり、時々、その砂がぼこぼことクレーターのようになっていることがあります。実はこれはフグの仲間が水を吹いた跡なのです。この行動をよく観察できるのは、モンガラカワハギ科、カワハギ科、イトマキフグ科、ハコフグ科のフグの仲間です。フグの仲間は基本的には肉食で、砂の中にいるエサを探して砂に向かって水を吹きます。また来館者にはなかなか見ることができないのですが、水面でも水を吹くことがあります。まるでエサをねだっているように見えますが、自然界ではエサを落として食べているのかもしれません。水鉄砲を出してエサを打ち落とすテッポウウオの仲間ほどきれいに飛ばせるわけではないのですが、体の大きなフグの仲間は大量の水を豪快に飛ばしてきます。

 

 

 このように、水を吐く(吹く)ことはフグにとっては特別な行動ではないようです。海響館のフグたちをよく見ていると皆さんの目の前で水を吹いているかもしれませんよ。

 

魚類展示課 園山貴之

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