menu

loading...

第242回 たかがうんち、されどうんち

 第231回イルカ・アシカ情報(/cms/dolphin231/)では、イルカの尿から健康状態を知ることをお伝えしました。それに続いて今回はイルカの便、つまりうんちについてお話ししていきます。

 水族館のプールを泳ぐイルカのお腹あたりから、茶色い「もや」のようなものが出ているのを見たという人がいるかもしれません。実はそれ、イルカのうんちなのです(尿のこともあります)。そしてこのうんち、実はイルカの健康状態を知るために役立ちます。まずは、見た目。イルカたちのうんちは水溶性(すいようせい)といって、ヒトのように固形ではなく、水に溶けてしまうのが正常です。もし、水面に浮いてくるようなうんちをしたら、体調不良を疑います。そして、次に顕微鏡での観察です。といっても、上記のように泳ぎながら排泄し水中に溶けてしまうイルカのうんちを回収することはほぼ不可能です。なので、トレーニングすることで採取できるようにしています。方法は2つ。イルカに横向きに上陸してもらい、合図でうんちをするようにするか、肛門から下の写真のようなチューブを挿入して採取するか(体温測定と同じ方法です)です。

 このようにして採取したうんちはスライドガラスに薄く伸ばし、薬品で染色します。そして、顕微鏡で観察することで、うんちの中にどんな細菌がいるのか、しっかりと消化されているのかなどを確認しています。

 また、採取したうんちを冷凍保存することで、必要に応じて過去の状態を振り返ることも可能ですし、普段からどのようなうんちをしているかという記録をつけることで、普段と違ううんちをした時に体の異変を早期に発見する指標にもなります。そのため、採取による検査はもちろん、日々の観察も大切です。皆さんがイルカプールの水中観覧窓から見ている時にも、たまにイルカたちがうんちをすることがあります。いきなり目の前が茶色くなるとびっくりするかもしれませんが、イルカのうんちを見られるのは逆にラッキーかもしれません。皆さんも“うん”試しにきてみませんか?

 令和4年7月2日より、水の世界にすむ動物のうんちをテーマにした特別企画展「ミラクルうんちワールド!in海響館」を開催しています。「うんちのことをもっと知りたい!」と思った方は、是非海響館へ!(1階イベントホールにて、10月30日まで開催)

海獣展示課

髙橋 紘香

PAGETOP