あくあはーつ通信

vol.236  無愛想だがいやし系?

 

 開館当初の1階に、ずんぐりしていて、見るからに「のほほ~ん」としたフグが展示されていた。写真は2003年10月頃のもので、記憶では20~25cmほどのサイズだっただろうか。ヨリトフグで、撚糸河豚、または 縒糸河豚と書くらしい。いつも、遠慮気味に水槽の隅の方で壁に向かってじっとしていることが多く、例の砂に潜るフグ特有の姿を見た記憶がない。

 

 現在は模様替えされているが、無料コーナーの1階にもいろいろな水槽が展示されていた。マツカサウオの発光実験水槽や大型の淡水魚ガーの水槽もあったが、地域の特色を生かす為か、フグ水槽、ウニ水槽、そしてクジラ関連の展示が主だった。

 

 当時も今も、フグはほとんど3階に集中して展示されているが、このフグだけは1階の出口付近に展示されていたことが長かったように思う。3階の「フグの世界」より明るい環境の上、2㎥ほどの水槽なので生物との目線が近く、細部の観察には便利だった。

 

 来館者は、3階で大きいものはメートル級のマンボウから、小さいものは数センチのアベニーパッファーまで何十種類もの世界のフグを楽しんだ後、出口のところで、もう一度珍しいフグのおもてなしで水族館を堪能していただくことになる。3階でのフグの解説時には、もし興味があれば順路の最後に癒される顔のフグが待っているので、お見落としのないようにと告げていたことを思い出した。

 

 標準和名ヨリトフグの語源の由来はいろいろあるようだが、地方名の方は、チョウチンフグ、ミズフグなどメタボ体型を連想させる名前のようだ。一方、英名はSlack skinned puffer やBlunt head pufferなど、皮膚がたるんでいるとか、表情からかの印象なのか、鈍いとか、無愛想などの命名になっているのは気の毒な気もする。水槽のヨリトフグは、どちらかと言えば、英名の方に近いと思いながら観ていた。

 

 当時、ヨリトフグを図鑑でみると、今もボランティア室に掲示されているフグ関連ポスターのヨリトフグのように腹部がたるんでいて大きく垂れ下がっているのをよく見かけた。その為、それが普通の状態だろうと思っていたのだが、ある時、展示部の職員に、展示中のヨリトフグは腹部も引き締まっていて図鑑と異なるので、別の種類か尋ねてみたことがあった。

 

 結果はどのようなことだったか、今では忘却の彼方だが、使用された原画が同じなのか、それとも、水面から釣り上げた時はいつも図鑑のような状態で、水中での状態を見る機会が少ないからというようなことではなかっただろうか?

 

 今年6月中旬、ヨリトフグの稚魚が展示された。久しぶりの再会になる。成魚とはずいぶん趣が違うので、言われなければメタリックなサバフグの稚魚かと思っただろう。ヨリトフグと同定された専門家の目はさすがに鋭い。何が決め手になったのだろうか。

今日も、口より大きい餌をモリモリほおばっていたが、無事に成長し、是非、あの「のほほ~んとした無愛想さ」を発揮してほしいものだ。

解説ボランティア:唐櫃 山人

2017年06月23日