骨だけに…


 皆さんはイルカたちが私たち人間と同じほ乳類の仲間だということをご存知でしょうか? ほ乳類は赤ちゃんを産んでお母さんがお乳を与えて育てる動物の仲間です。イルカたちも人間と同じようにそうやって子育てをしますが、パッと見ただけでは人間とイルカではまったく異なる形をしているので本当に同じ仲間なの!?と疑ってしまいますよね。 全身/比較

 イルカと人間が同じ仲間だということは何か共通点があるはずです。それを体の内側にある骨に見てみましょう。まずはイルカの胸びれに注目して見て下さい。イルカの胸びれは私たちでいう手にあたる部分です。三角形のまるで魚のヒレのような形をしていますが、実はこの胸びれの中には私たちと同じ
ように五本の指の骨が入っています。
 見た目には指が無いのに、指の骨だけあるのはなんだか不思議な感じがしますよね。イルカたちの祖先は陸上を歩いていたほ乳類。その名残りが今でも残っているのです。
骨格標本/手
胸びれの中には5本の指の骨が!
 同じように昔の名残りとして実はイルカたちに後足があることを皆さんはご存知ですか?イルカの体をみても、どこにもそんなものは見当たりませんよね。しかし体の骨を見てみると後足の骨はちゃんと残っているのです。正確には足自体の骨ではなく後ろ足を支える骨盤の骨にあたります。見た目がどんなに変わっても骨は完全にはなくなっておらずイルカたちが大昔に陸上を歩いていた動物の子孫だったことを教えてくれます。  骨格標本/足骨
ちょっぴりわかりにくいですが、骨盤にあたる部分です
 他にもほ乳類に共通の特徴として首の骨が『7つ』の骨からできていることがあります。これはキリンのような首の長い動物でも人間でも水の中で暮らすイルカでも変わりありません。外見からはイルカには首が無いように見えますが、骨格をよく見てみるとちゃんと七つの骨からできていることがわかります。 骨格標本/首
よく見て数えてみるとちゃんと7つの骨からできています

 水族館で様々な生き物の骨格標本を展示しているとお客さまから「これ本物!?」と聞かれることがあります。誰もがもっている物なのに目の前にあるとニセモノっぽく見えてしまうのはなぜでしょうか。今の私たちの生活の中で骨を目にする機会はほとんどなく、あるとすればお葬式ぐらいでしょうか。そのせいか『骨』というとあまり良いイメージをもたれる方も少ないかもしれませんが、ここまで読んでいただけたら分かるように骨を見ることによって外から見ただけではわからないようなことを知ることができます。
 ただし! そのためには体の作りや特徴などさまざまなことを知らないとわかりません。骨だけにコツコツといろんなことを勉強することが重要なのです。

 海響館の一階には世界最大の動物・シロナガスクジラから水族館の人気者・バンドウイルカまでさまざまな鯨類の骨格標本が展示してあります。今回のお話を読んであらためて眺めてみるとまた違った発見があるかもしれませんよ。



海獣展示課 須藤 怜
[最新一覧へ]