イルカのレントゲン撮影


 今回は、イルカのレントゲン撮影の様子を紹介しましょう。

 題を見て、まず「え、イルカもレントゲン撮影するの?!」ってみなさんは思うのではないでしょうか?私たちも調子が悪い時や、検査の時はレントゲン撮影しますよね。理由はそれと同じ。動物たちにも、どこか悪い部分はないかな?と検査をするためにレントゲン撮影を行います。でも、私たちと同じようにレントゲン室に入って…なんてことはできないので、イルカたちのいるプールの近くへレントゲン機器を持っていき、イルカたちに陸上へ上がってきてもらって撮影しました。
 また、海響館にあるレントゲン機器では、イルカの脂肪が厚く撮影が難しいということで、今回は大きなレントゲン機器を借りて、3日間かけて撮影をしました。
レントゲン

 撮影方法は、簡単にいうと、陸上においてあるレントゲンの板(私たちが胸のレントゲンを撮る時に胸をあてる板です。カセッテと呼びます)の上にイルカがのって撮影する、というだけのこと。文章で書くと、「何だ、それだけ。」って思うくらい簡単なのですが、実際はそんなに簡単ではないんです。

 まず、準備。カセッテは位置がずれると困るので、イルカがのってもずれないためには、どうしようかと頭を悩ませました。まさか、200kgを超えるイルカの体を抱いてカセッテの上にのせるわけにもいかないし…ということで、カセッテを固定できるものを作成しました。薄い板をくり抜いて、そこにカセッテをセットできるようにしたんです(写真では黒い部分)。そして、板のままだと、とげなどがイルカの体に刺さって怪我をする可能性があったので、板の部分にはイルカに傷がつかないように白いゴムマットを敷きました。 ゴムマット

 準備ができたら、イルカたちにこの板の上にあがってもらい、撮影となるはずなんですが、…プールからあがってこない。そうなんです。準備ができたらOK!というわけにはいかないんです。イルカたち、ゴムマットを見るのも、のるのも初体験。なので、「知らないものがある」って警戒してのらなかったり、一瞬のってみたけど「いつもの材質と違う」って気付いてすぐにおりたり、とゴムマットのことがとっても気になる様子。そこで、トレーニングが必要となってきます。「ゴムマットは怖いものではないよ。のっても大丈夫だよ。」ということを教えてあげるのです。そこで、少しだけマットにのって、すぐにプールへおろしてあげたり、ゴムマットのすぐ近くの陸上にあがってきたり、とあせらずに少しずつ少しずつ慣らしていきました。それと同時に、撮影には大きなレントゲン機器を使うので、大きな機器が近づいたり、照射器のアームが動いても大丈夫なように、ゴムマットの上にのっている時、大きな箱を近づけたりして、トレーニングをしました。

 ゴムマットに慣れたら、ようやく撮影開始です。撮影は写真と同じで、撮影の途中で動くとぶれてしまいます。なので、動かないようにトレーナーがイルカの様子をしっかりと見ながら、獣医と息を合わせて、
「1、2、3、カシャ」
といった感じで撮影をしました。

 そして、撮影した写真がこちら。
撮影
上から 横から
レントゲン写真 頸胸部 レントゲン写真 横
 脂肪が厚いのできちんと写るのか心配でしたが、なかなかきれいに撮れました。今回のレントゲン撮影では、大きな病気などは見つからず、無事に撮影を終了することができたので、良かったです。
 動物たちが健康に海響館で暮らすためにも、このようなレントゲンなどの検査を行うことはとっても重要なことです。今回はイルカのレントゲンについて紹介しましたが、イルカに限らずアシカ、アザラシ、スナメリも定期的にいろいろな検査を行っています。イルカ君アシカ君のバックナンバーには、他の検査についても書いてあります。興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。


海獣展示課 白髭 萌
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