イルカたちの防寒着「ブラバー」


 雪が舞う日もあり、めっきり寒くなった今日この頃。みなさまいかがお過ごしでしょうか?寒風吹きすさぶこの時期、外出する時には、マフラー、手袋、暖かいコートが欠かせませんよね。私は耳当ても必需品です。しかし、イルカ達の体を見てみるとつるつるしていて毛も生えていません。イルカ達は一体どのように寒さをしのぐのでしょうか?今回のイルカ君アシカ君では、そんなイルカ達の防寒術について迫ってみたいと思います。
 イルカ達は海で暮らしていますが、私達と同じ哺乳類です。哺乳類は恒温動物、つまり周りの温度に関係なく体温を一定に保つ動物です。バンドウイルカの体温はおよそ36〜37℃です。海響館のプールの水温は約18〜24℃。水温の方が体温よりもずいぶん低いので、何か対策を練らないと体温が奪われてしまいます。しかも水中では空気中より27倍もよく熱が伝わるため、体温が奪われやすいのです。同じ海で暮らすアシカやアザラシの体には毛が生えていて少しは暖かそうですが、イルカの体には毛が生えていません。では一体どうやって体温を保っているのでしょうか?
 見事な流線型でスレンダーに見えるイルカ達ですが、実は皮膚の下に「ブラバー(脂皮)」と呼ばれるとても厚い脂肪の層をもっているのです。脂肪の層が断熱の役割を果たし、体温を逃がさないようにしているのです。私達がコートを着るように、イルカ達は脂肪の防寒着「ブラバー」を着ていたというわけです。ブラバーの厚みは季節や栄養状態によって変化します。また体の部位によっても違いがあり、バンドウイルカの場合腹部では厚いときには4〜5cmにも達します。さらにこのブラバーは、エネルギーの貯蔵庫としての役割と、イルカ達が泳いだりジャンプをするときに見せるバネのようにしなやかな弾力の元にもなっているのです。
超音波検査
 さて、ブラバーによってイルカたちの防寒対策はばっちりなのですが・・・今度は暑くなったらどうするのか気になりませんか?例えば、運動をした後に暑くなったら私達ならコートを脱ぐことが出来ますし、汗をかいて体温を下げることが出来ます。しかし体に蓄えた脂肪の層は脱ぐことが出来ません。しかも、なんとイルカ達は汗腺を持っていないのです。上昇した体温はブラバーによって体内にこもってしまいます。寒さには強いブラバーですが、暑いときにはちょっとやっかいです。イルカと同じく汗腺を持たない哺乳類であるイヌは、舌を出して呼吸を早くすることで熱を逃がします。しかし、水中で暮らすイルカ達にはこの方法は使えません。では、暑い時にイルカ達がどうするかというと、血液が流れる量を増やすのです。前にも述べたように、水中では熱が奪われやすいのです。そこで、たくさんの血管が走っているヒレに流れる血液の量を増やし、そこから熱を逃がしているというわけです。よく動いた後には各ヒレの先が温かくなり、血流量が増えているのがわかります。
 抽選でドルフィンタッチングに当たった方はぜひイルカ達のヒレを触ってみてください。アクアシアターで活躍したイルカ達の体温を感じることができるはず!忘れずにお腹も触って、ぷにぷにのブラバーの感触も確かめてみてくださいね。



海獣展示課 村本 ももよ
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