海獣類は種類によって恋の季節が異なります。例えば、バンドウイルカは春、カリフォルニアアシカは夏、ゴマフアザラシは冬です。このように恋の季節(繁殖季節)をもつ動物のことを季節繁殖動物と言います。ちなみに、季節を問わず1年中繁殖可能な動物のとこを周年繁殖動物と言います。今回の主役であるスナメリの恋の季節は『春』です(瀬戸内海に住むスナメリにおいて)。スナメリの性成熟年齢は雄で4〜9歳、雌で3〜7歳といわれています。10歳(推定年齢)になる”ひびき”は十分繁殖可能です。
2年半前まで”ひびき”は1頭で暮らしていた為、繁殖とは無縁でした。ところが、2006年12月にお嫁さん候補としてサラが福岡県の水族館・マリンワールド海の中道からやってきたことにより、今までの生活は一変しました。
サラが海響館に来て初めての春。慣れない環境にとまどうサラをやさしくサポートする”ひびき”の姿がありました。横に並んで泳ぐこともあれば、時には体をこすりつけスキンシップを試みることもありました。その姿は恋人というよりまるで兄妹のようでした。
サラが来て2回目の今年の春。”ひびき”の行動に少しずつ変化が現れました。普段なら集中し頑張っているトレーニングにも関わらず、トレーニングそっちのけでサラが気になり、時にはサラの生殖孔をじっと見つめる行動がみられました。交尾のチャンスを伺っているのでしょうか?繁殖への期待が高まります。ある日、スタッフは目撃しました。な、な、なんとサラに対して”ひびき”が生殖器を出したのです!しかし、サラは逃げるように”ひびき”を追い払い、交尾には至りませんでした。1度だけでなく、2度3度、2日、3日とめげずに”ひびき”はチャレンジしていましたが、努力の甲斐なくことごとく逃げられてしまいました。今年の春はどうやら”ひびき”の片想いに終わったようです。