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第77回  超音波検査で胎児を観察してみよう!

 皆さんこんにちは!今回のイルカ君アシカ君では、超音波検査での胎児の観察についてお話しましょう。
 超音波とは人には聞こえないような高い音のことで、イルカやコウモリが超音波によって反響定位(エコロケーション:音を自分から出してその跳ね返ってくる音を聞くことで、周囲の状況を知ること)を行っていることが知られています。超音波検査とは、体の内部に向けて発した超音波が臓器に当たって跳ね返ってくる音を受信して、その臓器までの位置を画像としてうつしだして診断を行うことです。人間でも妊娠したお母さんたちに超音波検査を定期的に行い胎児の成長を確認しています。
 この超音波検査は人間だけではなく、動物でも同じ様に行うことができます。動物では妊娠診断によく用いられており、妊娠の可能性のある動物に超音波検査を行い、妊娠しているかの確認を行っています。

 海響館では一昨年の夏から春にかけて、妊娠していたバンドウイルカのラナとゴマフアザラシのマルに定期的な超音波検査を行い、胎児の成長を観察しました。
 海響館ではバンドウイルカもゴマフアザラシもお腹を上にして水面に浮いてもらって検査を行います。下の写真をご覧ください。
ラナの超音波検査
マルの超音波検査


 私がめがねのように着けているものは、小型のモニターでめがねの中に画像を見ることができ、同時にめがねの端から動物を見ることができます。人間の場合、じーっとしておくことができますが、動物では動くことがあるため、動物を視界の端に捕らえながら検査を行うことができる事は非常にやりやすいのです。
 バンドウイルカでは、胎児の頭の大きさや胸の大きさを計測することによって、計算からあと何日くらいで出産するのか?と予測ができます。そして、定期的な超音波検査を繰り返すことで、より正確な出産日の予測ができるのです。ラナの場合、実際の出産は予測した日と2〜3日ずれただけでした。人間の出産予定日でも数日のずれはよくあることですから、動物で2〜3日の誤差しかなかったと言うのはそれだけ正確な出産日の予測ができたと言えます。
 では、実際にラナの胎児の様子をご覧いただきましょう。
 ※胎児の様子の動画はこちらから
 この画像は出産の約1ヶ月前のもので、胎児がかなり大きくなっており、画面には胎児の顔の部分しか写っていません。
イルカの胎児


 ただ、残念なことにラナの子供は無事に出産されたのですが、うまく呼吸をする事ができなかったため、出産したその日に死亡してしまいました。しかし、バンドウイルカの初産はうまくいかない場合も多くあるため、無事に出産することができただけでもラナは良くがんばったと思います。次回は、きっとうまく子育てもしてくれることでしょう。
 次にゴマフアザラシでは、バンドウイルカに比べて神経質なところがあるのですが、海響館のマルはよくトレーニングされているため超音波検査のトレーニングもスムーズに行うことができ、超音波検査も難なくこなしてくれました。
 こちらのゴマフアザラシの画像も見ていただきましょう。
 ※胎児の様子の動画はこちらから
 この画像は妊娠初期の頃のため、胎児も小さく全身が見えています。元気な胎児の様子をご覧ください。
マルの胎児

 ※以上のように超音波検査を行った結果を2007年秋に行われた野生動物医学会という学会でポスター発表をしてきました。
 下記のポスター詳細はposter.pdfをダウンロードしていただけるとご覧いただけます。(poster.pdf 2.2MB)
飼育下動物に対する定期的な超音波検査による胎児の観察
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海獣展示課 進藤 英朗
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