その始まりは、今年の11月10日に行ったスナメリ目視調査(イルカ君アシカ君 第64回スナメリ調査本格始動を参照)での事でした。11月にしてはあまり寒くなかったその日、スナメリを探しながら船上から海を眺めていると、まずカモメが多いことに気付きました。「あれっ?去年はこんなにカモメがいたかなあ。」と思いながら、船を走らせていると1回目のスナメリ発見。まあこの時は、いつも通りの発見だと思いそんなに驚くことはありませんでした。ところが、その後船を少しはしらせてはスナメリを発見するというこれまでにない状況になりました。興奮冷めやらないままさらに移動していると、数頭のスナメリを発見、今度は船を停めてしばらく観察することにしました。すると「前にいる!」という声の直後に「後ろにも!」、「あれっ、横にも」。気付くと私たちが乗っている船がスナメリに囲まれる状態になっていたのです。30頭ほどはいたでしょうか。これまでに10回、同じ海域で同じように調査を行ってきたのですが、こんな事は初めてでした。1回の調査で、よく見えても15頭ほど、少ない時は1頭だけということもあるほどです。理由ははっきりとは言えませんが、どうも餌となる魚が多くいたようです。カモメが多かったのもその影響だと思われます。
その後、11月の下旬から12月の初めにはおよそ2週間の間に、山口県の下関市、防府市、福岡県北九州市などでスナメリのストランディング注)がたて続けに6件もありました。これも、今までには経験のないことです。発見者の方などにいろいろと話を聞くと、やはり今年はスナメリが多く見られているとのことでした。
私たちは、スナメリが多く見られるのはうれしいのですが、やはり「なぜ?」というのが頭に残ります。『餌となる魚が多い』=『海が豊か』と安易に考えてはいけないのではないかと思うのです。今後もスナメリの出現数だけでなく、スナメリを取り囲む環境についても注意深く観察を続けたいと考えています。
注)ストランディングとは、生存している鯨類が網に絡んだり、海岸に座礁する、湾などに迷い込む、また死亡している鯨類が海岸に漂着する、海上を漂っているなどの状態の総称です(鯨類だけに用いる言葉ではありません)。 (鯨類発見情報を参照) |