第72回 ひびきとサラ

 皆さんこんにちは!海響館に来られた方やホームページなどでご存知の方もおられると思いますが、これまで1頭で過ごしてきたオスのスナメリ「ひびき」に、昨年12月20日、ようやく新しい仲間が加わりました。名前を「サラ」というメスのスナメリで、ひびきのお嫁さん候補としてやってきました。サラは昨年の5月に佐賀県の有明海で刺網に絡まっていたところを保護され、福岡県の水族館『マリンワールド海の中道』で手厚い看護を受け、元気を取り戻したスナメリです。サラという名前の由来は保護されたときに頭の上にお皿をのせたような丸い傷があったことから名づけられたそうです。今回は、サラが海響館にやってきた時の裏話と、現在のひびきとサラの様子についてお話しましょう。

サラがやってくる日、私たち飼育員はとても緊張しました。というのも、ひびきは5年半もの長い間1頭で生活してきたので、突然出会う新しい仲間と仲良くできるのか分かりません。「きっと大丈夫」という気持ちと、「ひびきがサラを嫌ったらどうしよう」という気持ちが、入り混じった複雑な感じでした。私たちは、入念に打ち合わせや準備を行ない、当日はみんなで交代しながら、日中だけでなく夜中も観察を行うことにしました。しかし、そんな私たちの心配をよそに、サラがプールに放された瞬間、ひびきは少し戸惑いながらも、すぐにサラに寄り添うように泳いでくれました。サラもパニックを起こす事もなく元気に泳いでくれました。そして、しばらく見守っていると、こんな出来事があったのです。サラが海響館に来る時に、マリンワールドでよく遊んでお気に入りだったボールも一緒に持ってきました。私たちは、少しでもサラが新しい環境で落ち着けるようにと、そのボールを渡してあげたのですが、サラはそれどころではないらしく、ぐるぐると泳いでいました。そうすると、ひびきがボールをサラの近くにやさしく持って行ってあげるという行動を見せてくれました。  「まさかそんな行動をとるなんて」と思う方もいるかもしれませんが、私たちには本当にそう見えたのです(そう信じたい)!!サラもそれまではボールに見向きもしなかったのに、ひびきの優しさに打たれてかボールで遊び始めたのです。ぜひ皆さんにも見てもらいたかった、そう思う出来事でした。その後2頭はすっかり仲良くなりました。
 さて、4カ月たった今のひびきとサラはというと、ひびきは相変わらずサラをやさしくサポートするように泳ぐことが多く、サラはすっかり海響館の環境に慣れ、ひびきとの生活を楽しんでいるようです。また、サラは海響館のトレーニングにも楽しみを覚えたようで、トレーナーが近くに行くとものすごい勢いで近づいてきます。1日に何度か行われるトレーニングを今か今かと待っています。好奇心旺盛なサラは、身近にひびきという先輩がいることもあり、ひびきの真似をしながらすごい早さでいろいろなことを覚えていきます。トレーナーが体に触ったり、口を開けて歯や歯茎のチェックをすることもできるようになりました。またサインに応じてクルクル回転したり、水を吹きかけたり、手に持った餌の魚に向かってジャンプする事もできるようになりました。そして、最近ではひびきと一緒にバブルリングができるようになり、みなさんに公開しています。今後は、ひびきと一緒に体温測定や体重、体長の測定など、さらにいろいろなことができるようチャレンジして行く予定です。
サラ
サラ
サラとひびき
サラとひびき
トレーニングの様子
トレーニングの様子

 そんな仲の良いひびきとサラ、期待が高まるのは2世の誕生です。スナメリのメスは4歳位から性成熟すると言われていますから、推定年齢1歳とまだまだ若いサラに赤ちゃんが誕生するにはもうしばらく時間がかかりますが、じっくりと待ちたいと思います。ひびきとサラは、いろいろな遊びを考えながら愛を育んでいるのかもしれません。皆さん海響館にいらした際はぜひ、仲良く遊んでいる2頭を優しく見守ってあげてくださいね。 


海獣展示課 上原 正太郎
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