第64回 スナメリ調査本格始動!

 スナメリは鯨の仲間で最も小さい種類の一つで、日本から韓国、中国、東南アジア、インド、ペルシャ湾にかけて生息しています。日本では東京湾〜仙台湾、伊勢湾・三河湾、瀬戸内海、有明海・橘湾、大村湾に棲んでおり、全身灰色で背ビレがなく、頭が丸いのが特徴です。

 海響館がある下関周辺にもこのスナメリが棲んでいるのですが、何頭くらいのスナメリが棲んでいるのか、季節的な回遊をしているのか、どのような生活をしているのか、何を食べているのかなど、実はまだまだわからないことが多いのです。そこで、私たちは海響館が開館する前の1999年以来、船で下関周辺の海に出てスナメリ調査を続けてきました。当初は、まずスナメリがどのような動物なのかを知ることが大きな目的でしが、この度、これまで5年間行ってきた調査に一区切りをつけ、より学術的な調査とすべく昨年から調査の目的と方法を一新することにしました。頭をひねりながら何度も話し合いを重ね、数回の予備調査を行った結果、決定した調査目的は「周防灘海域におけるスナメリの生息密度調査」。瀬戸内海西側の周防灘、下関市から山陽小野田市にぐるりと囲まれた海域を設定し、およそ2ヶ月おきに1回船で調査を行います。この調査ではライントランセクト法という方法を用います。ライントランセクト法とはあらかじめ設定したラインに沿って調査を行っていく方法で、そのライン上を決められた速度で船を走らせて、いつ、どこで、何頭見えたのかを記録していきます。これによって、調査海域でのスナメリの生息密度が季節によってどのように変わるのかが分かるのです。合わせて、スナメリの行動や繁殖についても知ることができるのではないかと考えています。
 できるだけ広い範囲を調査したいので、朝の7時30分には出港し6〜7時間船上で調査を行います。また、スナメリは背ビレがなく、通常は海面に背中を一瞬見せてくれるだけなので、かなり集中して観察しなければ発見できません。その分、調査には体力と根気が必要なのですが、スナメリの事をもっと知りたいという気持ちでスタッフはがんばっています(冬の海は凍えるような寒さです)。ちなみに、これまで3回の調査を実施し、33頭のスナメリを発見しました。さらに、3月の調査時には北九州市若松区の安瀬泊地にてカマイルカの群れがいるという連絡を受け、現場に急行してその姿を確認できたという、うれしいハプニングもありました。これからの調査も楽しみです。
目視調査
目視調査
野生のスナメリ
野生のスナメリ
野生のスナメリ
野生のスナメリ
偶然見つけたカマイルカ
偶然見つけたカマイルカ


 今回は少し難しい話になりましたが、海響館ではこのような地道な活動もしている事を知っていただければと思います。

海獣展示課 立川 利幸
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