第60回 大きな口をあけて・・・

 食欲の秋がやってきました!おいしいものを沢山食べたくなる季節ですね。でも、甘いものを食べたあとは要注意!虫歯にならないように、しっかりと歯磨きをしましょうね!

  さて、今回は海獣たちの歯について紹介します。歯の形は、人間、イルカ、アシカ、アザラシ、みんな違います。人間は、野菜や果物をかじる門歯、肉を噛み切る犬歯、穀物をすりつぶす臼歯と、役目の違ういろいろな形の歯を持っていますよね。では、海獣たちの歯は、どんな形をしているのでしょうか?
 みなさんは食事中の海獣たちを見たことがありますか?実は海獣たち、餌の魚をほとんど丸飲みにしています。ですから、彼らの歯は、食べ物をすりつぶす役目ではなく、主に獲物を捕らえたり、身を守る役目を果たしているのです。そのためバンドウイルカ、アシカ類、ゴマフアザラシの歯は、どれも鋭い形をしています。
 イルカ・アシカたちは繁殖の時期になると、とくにオスは感情が高ぶり、ケンカをすることもしばしばです。ケンカになると相手を激しく攻撃するため、お互いの体を傷つけてしまうことも少なくありません。
 バンドウイルカたちは、口の先端から奥まで等間隔で並ぶ、たくさんの白くて小さく鋭い歯を持っています。イルカの歯は一生涯生え替わることはなく、若いときは鋭い歯も、年を取るとともに丸みを帯びてきます。海響館のイルカの中では、今年3月に和歌山県からやってきた2頭の若いイルカはとても鋭い歯をしていますが、一番年上のラナの歯はすり減ってお箸の先のようになっています。また、何か堅い物に噛みついたのでしょうか、パールのように、数本の歯が欠けているイルカもいます。イルカ同士でケンカをした後の噛み傷は身体に白く等間隔の筋状に残ります。私たちスタッフは毎日イルカたちの体をチェックし、新しい傷が見つかったら、少しでも早く傷が治るよう、朝と夕方に傷の消毒をしています。とくに傷が多くみられるのは、背びれの後ろから尾びれのつけ根にかけての部分です。
 一方アシカたちの歯は、意外にも茶色い色をしています。犬歯は大きく鋭い形をしており、噛む力はとても強いです。アシカたちは、まれにケージの外でケンカになることがあります。とくにオス同士のケンカは激しくぶつかり合ったり、噛みつき合ったりします。先日、血気盛んな若者であるムサシ(12歳、143 kg)は、年上のモモタロウ(17歳、225 kg)に戦いを挑んだものの、モモタロウの反撃に破れ、足に傷を負ってしまい、しばらくは歩くのも辛そうにしていました。ムサシは若いこともあり、鋭く立派な歯を持っていますが、やはりベテランのモモタロウには勝てなかったようです。海響館のアシカの中では、今のところモモタロウがやはり一番強そうです。
アザラシの歯
アザラシの歯
バンドウイルカの歯
バンドウイルカの歯
カリフォルニアアシカの歯
カリフォルニアアシカの歯
傷の消毒
傷の消毒
ムサシの脚の傷
ムサシの脚の傷
歯磨き
歯磨き

 丈夫な歯は健康であることの証拠です。私たちスタッフは、海獣達の健康管理の一つに、歯磨きトレーニングなども行っています。体の大きなオスアシカも、歯磨きをするときには大きな口をあけてじっとしています。みなさんも、おいしいものを食べるために、毎日しっかり歯磨きして、丈夫な歯を保ちましょうね!

海獣展示課 堀内 悠
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