すっかり暑くなりましたが、みなさんいかがお過ごしですか? さて、今回のイルカ君アシカ君は、イルカ達の「おもちゃ」についてお話したいと思います。みなさんは海響館に来て、アクアシアターとその隣にあるふれあいプールにイルカではない“何か”が浮いているのを見た事がありますか?それが、イルカ達の「おもちゃ」です。専門的には「ED(enrichment deviceの略)」といいます。直訳すると、「環境を豊かにする装置」となりますね。(エンリッチメントに関しては、イルカ君アシカ君第39回エンリッチメントって何?をご覧下さい。)このおもちゃ、ペットショップやホームセンターには売っていません。全て海獣展示課スタッフの手作りなのです!
<まずは材料選び>
材料は、浮き(海に浮いている大きな物)、ロープ、ホース、丈夫な箱等(写真1〜3)。 決まった材料はありません。何でも良いのです。但し重要なのは、「丈夫」且つ「安全」な材料選びです。イルカ達は、おもちゃをあげるとたくさんの遊び方をします。おもちゃを口にくわえて引っ張ったり、上に乗ったり、吻先でプールの外に出そうとしたり・・・あるスタッフによると、バンドウイルカのアルカは、1つのおもちゃでなんと14種類もの遊び方を開発したそうです!!おもちゃは、イルカ達が考える遊びに耐えられる丈夫な物でなければなりません。彼らの歯はとても鋭く、物を噛む顎の力は私達の想像を遥かに越えます。遊んでいるうちにおもちゃが壊れ、その破片を飲み込んでしまう事が決してないように、材料選びは慎重に行います。そして、イルカ達の体やプールのアクリルガラスを傷付ける恐れのある硬い物、軽すぎて簡単にプールの外に出せてしまう物もNGです。
<さっそく作製>
材料が決まったら、あとは組み合わせるだけ!しかし、ここでも安全性は忘れてはなりません。例えば、浮きをいくつか繋げて輪状のおもちゃを作るとします。とても面白そうなおもちゃだと思いませんか?しかし輪が小さいとおもちゃごと飲みこんでしまうかもしれませんし、大きいと遊んでいるうちに輪が体にはまってしまい、イルカ達がパニック状態になってしまうかもしれません。ですから、この場合は輪の大きさがとても重要になってきます。現在海響館で主流となっているのは、2、3個の浮きを一列に繋いであるおもちゃです(写真4)。一見太いホースだけで繋いであるように見えるかもしれませんが、実はホースの中にはロープが通してあります。このロープは、万が一イルカ達がホースを噛みちぎってしまった時の保険の役割をします。また、おもちゃとして出番待ちのこの管(写真5)は両端の切り口がギザギザしており、イルカ達の体を傷付けてしまう恐れがあるので、ヤスリで切り口を滑らかにしてから使用する予定です。
<テスト使用>
さて、このようにしてできあがったおもちゃですが、プールに入れてもすぐに遊んでくれるとは限りません。初めはおもちゃを警戒し、遠くから様子をうかがっています。安全な物だとわかると、あとは好き放題!どんどん遊びを開発していきます。初めてのおもちゃをプールに入れる時は、私達スタッフもドキドキします。予想外の欠点がないか、イルカ達が気に入ってくれるかどうか・・・作製したものが、おもちゃとして安心して使用できるまでは1週間ぐらいかかります。
<おもちゃ採用!>
イルカ達のおもちゃはこのようにしてできあがります。この文章を書いているうちにも、彼らは多くの難題を出してきます。「もっとたくさんのおもちゃがほしいな。」とか「このおもちゃにはもう飽きちゃった。」と思っているに違いありません。かなり頭を悩ますおもちゃ作りですが、イルカ達がプールという限られた環境で楽しく過ごせるよう、たくさん試行錯誤して良いおもちゃ作りをしていきたいと思います。海響館に来た際には、アクアシアターを覗いてみて下さい。斬新な(?)形のおもちゃでイルカ達が遊んでいる姿が見られるかもしれませんよ(写真6)。
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