第50回 体温測定

 今年の冬は大寒波が日本を襲いましたが、皆さんは体調を崩していませんか?私達は日頃から動物が体調を崩さないようにしっかりと健康管理を行っています。健康管理には、体重測定・体長測定・体温測定・採血・採尿・検便・行動観察などがあります。今回は海響館で行っている健康管理の中の体温測定を取り上げてみました。

 イルカやアシカは私達と同じ哺乳類なので、体温を一定に保つことが出来ます(恒温動物)。体温はだいだい人間と同じかあるいは1度高いくらいです。例えばカリフォルニアアシカのモモタロウ(オス)の平均体温は36.5度で、バンドウイルカのダン(オス)は36.7度です。海響館では体温測定を月2回の間隔で行います。

 人の場合、ワキに体温計を挟んだり、口に体温計をくわえて体温を測ります。
では、イルカやアシカは一体どこで体温を測るのでしょうか?
実は直腸体温を測ります。
 図1の写真は海響館で使用している体温計です。プローブの先(赤丸部分)を肛門からイルカで20cm程、アシカで10〜15cm程挿し込みます。挿し込んで30秒もすれば数値は一定となり、その数値を記録します。 肛門および直腸はとてもデリケートな部分なのでプローブを入れる時は細心の注意を払っています。
 次にどのような体勢で測るのでしょうか?イルカの場合は水中でも陸上でも測れます。水中では、図2のように1人のトレーナーが仰向けになったイルカの尾びれを持ち、もう1人のトレーナーが体温を測ります。陸上では、図3のようにイルカをステージに腹部が見えるように上陸させて測ります。アシカの場合、海響館では陸上でうつぶせになった状態で測ります(図4)。
 測定時に動物が緊張し、肛門に力が入ったままプローブを挿すと肛門に傷をつける可能性があります。そのため測定時は動物がリラックスしていることが重要ですが、最初から出来たわけではありません。動物達はプローブを挿入されるだけでなく、体に触れることさえとても敏感です。そこで私達はいきなり動物の体をベトベト触るのではなく、少しずつ触っていきます。こうした積み重ねを繰り返すことで、動物たちは触ったりプローブを挿されることに対して落ち着きを保つようになりました。今では海響館にいるほとんどの動物がリラックスした中で体温測定を行えます。
図1 体温計
アシカの毛
図2 イルカ:水中で体温測定
抜群の水はじき
図3 イルカ:陸上で体温測定
図4 アシカ体温測定


 動物達の健康管理を行う上で、体温測定はその一部にしか過ぎません。しかし、動物たちがより健康な生活を送るためのバロメーターとして体温測定を続けていきたいと思います。動物達が健康であり、毎日の生活が楽しいものになるよう私達スタッフは努力は惜しみません。
元気一杯の動物達にぜひ会いに来て下さい!!!

海獣展示課 榊 麻有
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