第43回 飼育係の仕事 Part3

みなさん、大変遅くなりましたがイルカ君アシカ君の第24回「飼育係の仕事 Part.1」、そして第28回「飼育係の仕事 Part.2」の続編です。飼育係の仕事の基本「3じ」、調餌(ちょうじ)・給餌(きゅうじ)・掃除(そうじ)のうち、Part1とPart2では調餌と掃除についてお話ししました。今回は残る給餌についてお話ししましょう。

 給餌とは、動物たちに餌を与えることです。といっても、これは簡単なことではなく、動物によって食べるものも違いますし、食べ方も違います。動物に合ったものを選ぶ必要があり、与える量も与え方も考えなければなりません。私たち海獣展示課スタッフが飼育しているイルカやアシカ、アザラシ、ペンギン、スナメリは野生では基本的に魚やイカを食べるので、海響館でも5〜6種類の魚とイカを給餌しています。みなさんおなじみのサバやアジを始め、サンマ、ホッケ、シシャモ、イカナゴなど、とにかく鮮度が良く安定して入手できるものを選びます。(値段が安いことも重要なのですが・・・) 使うものは寄生虫の問題や保存のことを考えすべて冷凍のもので、毎日解凍して使用します。給餌する量は、定期的な体重測定の結果と季節や気温、水温などの環境なども考慮し、さらに食欲、行動を見て決定していきます。イルカやアシカたちは、人間のように噛み砕くことなく餌となる魚やイカを丸呑みにします。私たちが魚やイカを口の中に入れてあげれば飲み込んでくれるのですが、注意しなければならないのは魚の向き。必ず魚を頭の方から口に入れてあげます。そうしないと、魚のヒレがひっかかって口の中を傷つけてしまうのです。そして、飲み込みにくいと魚を飲み込むのに時間がかかり、トレーナーから離れたり餌の魚で遊んだりという良くない行動を生んでしまいます。また、給餌をする時間にも気を配ります。1日の中で私たちが動物たちと接するおよそ8時間の間、餌が偏らないように考えています。例えば、1日の餌の量が10kgだったとしたら、朝に4kg、昼に2kg、夕方に4kgというふうに。しかし、実際には動物たちは毎日アクアシアターに出演したり、プレゼンテーションを行うので給餌の間隔や量の配分には更に気をつけています。
 そして、実は動物たちへの給餌にはもっと大きな意味があるのです。それは給餌=トレーニングになるということです。餌を食べることは動物たちにとって必要不可欠なことであり、欲することなのです。そのため餌をあげることは動物に対して誉めることになります。これが基本となりさまざまなトレーニングを進めていきます。例えば、イルカが最初低いジャンプをした時に魚をあげて誉めてあげます。そうすると今度はイルカはより高いジャンプをします。そこでまた魚をあげて誉めます。そうしていくことで高いジャンプが出来上がっていくのです。本来、動物たちが持っている行動を誉めることで高めていくことができるのです。トレーニングについては、奥が深くここでは書ききれないので今後ホームページ上に情報を掲載していきます。期待しててくださいね。
イルカの給餌
イルカの給餌
アシカの給餌
アシカの給餌
スナメリの給餌
スナメリの給餌
アザラシの給餌
アザラシの給餌
ペンギンの給餌
ペンギンの給餌

Part1からPart3までシリーズでお話ししてきましたが、飼育係が動物を飼育するためにたくさんの事に気を配り考えながら仕事をしていること、お分かりいただけたでしょうか?私たちが、これらのことを怠ると簡単に動物たちの健康を害してしまいます。これらの基本の上に、動物の健康やトレーニング、みなさんに楽しんでいただいている動物たちのパフォーマンスが成り立っているのです。みなさんぜひ海響館の元気な動物たちに会いに来てください。

海獣展示課 立川 利幸
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