第24回 飼育係の仕事 Part1

 飼育係の仕事の基本に「3」というのがあります。「3」というのは調餌(ちょう)・給餌(きゅう)・掃除(そう)のことを指しています。この3つは飼育係としてとても基本的な作業であり、とても重要な作業でもあります。そこで今回はPart1としてそのうちの一つ調餌(ちょう)についてお話ししましょう。

 調餌とは、動物たちに与える餌をつくることです。海響館にはたくさんの動物がいますがその動物によって食べる物は違いますし、食べる量も食べ方も違います。そんな様々な動物を健康に飼育するために調餌がとても重要になるのです。調餌には量を測る、切る、煮るなど様々な作業があります。それでは例として海獣類(イルカやアシカ)の調餌について紹介していきます。

 まず、調餌をする前に餌を選ばなければなりません。そこで考えなければならないのは野生のイルカやアシカは何を食べているのかです。当たり前のことですが、魚しか食べない動物に野菜を与えるわけにはいきません。その動物が野生で食べているものを与えることが健康に飼うことにつながるのです。イルカやアシカが海で食べているのは主に魚やイカなので、海響館でも魚(現在使用しているのはサバ、サンマ、ホッケ、カラフトシシャモ、チカ、カマスなど)やイカを与えています。ただし、入手する魚やイカはほとんどが冷凍されたもので、使う時に解凍するという方法をとっています。これには重要な意味があり、餌を冷凍することで餌に寄生している寄生虫を殺したり、菌の発生を抑えたり、餌の傷みを抑えたりします。海響館にも冷凍庫があり(写真1)、常に約5トンの餌を確保しています。
冷凍庫
写真1
写真2
写真3
写真4
 それでは調餌の話しに戻りましょう。まずは冷凍の魚を解凍します。解凍のために専用の水槽があり、海水をはった水槽内に前日の夕方から翌日分の冷凍の魚を入れ、ゆっくりと解かしていきます。(写真2、3)海水を使うと餌の鮮度を保ちながら解凍ができるのです。次に解けた魚をそれぞれの動物1頭1頭の名前が書かれたバケツに分けていきます。(写真4)動物1頭1頭、年齢や体調、その時の体重、オスかメスかなどのさまざまな条件で餌の量や配分が違いますので、配分を書いた表を見ながら間違わないように分けなければなりません。(写真5)例えばイルカで1日18kg与えている個体もあれば、14kgの個体もいます。この餌の量や配分を管理することも動物を健康に飼育することに大きな意味を持ちます。

 さて魚を分け終わったバケツですが、すぐに海水をはり魚が乾燥しないようにします。(写真6)魚が乾燥してしまうと、菌が増殖したり痛みの原因になってしまいます。そして全てのバケツに魚を分け終わると、そのバケツを冷蔵室に入れて保存します。(写真7)これで、一応大まかな作業は終わりですが、動物のトレーニングのためや健康状態などの必要に応じて魚を調理していきます。(写真8‥ぶつ切り、写真9‥3枚おろし)ということで飼育係には包丁の技術も必要になるのです。

 餌は動物の体の中に直接入るものなので、その管理や保存にはかなりの注意が必要になります。餌の状態次第で動物を健康に飼育できるかどうかを左右するといっても過言ではありません。そのために飼育係は毎日餌の管理に対して充分気をつけているのです。これが飼育係の基本の「3じ」の一つとされている要因なのですが、お分かりいただけましたか。
写真5
写真6
写真7
写真8
写真9

海獣展示課 立川 利幸
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