イルカは一生を水の中で過ごす動物なので、引越しだからといって「さあ箱に入れて運びましょう。」という訳にはいきません。しかも、体重がおよそ200kgもありますから簡単に持ち上げて運ぶこともできません。そんな訳で、イルカの引越しにはたくさんの準備と注意が必要になるのです。まず、準備するものはイルカを運ぶための専用の担架(イルカをその上にのせて運びます)と箱、それを積むトラック、それに今回はイルカを吊り上げるためのクレーンも準備しました。
スタッフが最も注意することは、イルカには水が欠かせないという点です。これにはとても気を使います。なぜならイルカは体が乾いてしまうと、すぐに水ぶくれができ傷になったり、体温が上がりすぎたりします。そこで、イルカを入れる箱の中には水を入れイルカが水面に浮くような状態にし、イルカの背中には濡らしたシーツをかけて乾燥を防ぎます。そして、イルカを運んでいる間はずっとスタッフが付き添い水をかけ続けるのです。
引越しの日が決まったのは約1ヶ月前、その日からすぐに私たちは準備に取りかかりました。まずは、スケジュールを立て大まかな時間の流れを作ります。どうすれば、スムーズかつ安全に運べるか、そのためには何人の人手が必要でどのように配置すべきか、何を準備し時間はどれくらいかかるか、などなどたくさんのことを考えてスケジュールを決めていきます。そして、8頭のイルカたちを2頭ずつ4回に分けて運ぶことに決定したのです。
当日7時30分、全員集合し最後の打ち合わせ、
「今日は、いよいよイルカの引越しの日です。細心の注意をはらい、スケジュール通りにスムーズ、そして安全に作業をするように!」
その声と同時に各自持ち場へ分かれました。
まずは、プールの水を排水しイルカを捕まえやすくします。この時にはみんなの緊張が高まってきます。何せ、海響館のアクアシアターを務める大事な主役たち、この引越しは何としても成功させなければなりません。しかも、スタッフの多くはイルカの引越しの経験がなかったのです。打ち合わせで方法は聞いているものの、新人スタッフの顔には緊張が隠せません。それでも時間は迫ってきます。
9時00分、すべての準備が終了し作業開始
総勢10名のスタッフが水に入り、順番にイルカを捕まえていきますが、その頃になるとスタッフの興奮は最高潮になり、
「そっちに行ったぞ!」
「そこを持て!」
「こっちに来い!」
「イルカの頭を持ち上げろ!」
などなど、大声が飛び交います。
それを、経験豊かなスタッフが取りまとめながら作業を順調に進めていきます。
最初の2頭がトラックに積まれ水族館を出発、5名のスタッフが付き添いイルカの体に水をかけながら約10分の道のりをゆっくりと海響館へ向かいます。
10時00分海響館に到着、いよいよ海響館の新しいプールにイルカが放される、スタッフ一同緊張と興奮で一瞬静まりました。そして次の瞬間、
「パチ!パチ!パチ!パチ!」
無事に最初の1頭がプールに放され、元気良く泳ぎだしたその姿を見て歓声が上がりました。
「よしよし、この調子ならすべてうまくいくぞ。」
|
イルカの移動 〜トラックからプールへ〜
|
 |
| 1.トラックで海響館に到着 |
 |
| 2.担架ごとクレーンでつり上げる |
 |
| 3.いよいよ海響館の中へ |
 |
| 4.プールのそばまで静かに移動 |
 |
| 5.そのまま水面まで静かにおろして |
 |
| 6.水面に到着 |
 |
| 7.いよいよ新しいプールでの初泳ぎ |
 |
| 8.プールになれるまで職員がつきそって |
 |
| 9.プールにもなれて一安心 |
|