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第90回 クサフグの産卵に立ちあいました!

 私事ですが、フグの担当になって約半年が経ちました。担当しているフグの中に『クサフグ』というトラフグ属の中でも小型のフグの仲間がいます。まだ海響館で働きだして間もない頃に、フグ担当の先輩から「山口の光市でクサフグが産卵しよるのが見れるけ、一度見に行ってき〜」と言われ、今年こそは!!と思いを募らせていました。「○○さん、一緒に行きませんか?!」と、いろんな人を誘ってみましたが「いや、一回行ったからいいや。」という答えが返ってきます…。『みんな何で行かんのやろ?!』と思いつつ、インターネットで光市のホームページを開き、産卵予定日時を確かめ、ついに6月18日にクサフグの産卵を見に行くことにしました。

 観察会当日。ビデオやカメラを用意し、いよいよ出発です!海響館を出発し、約2時間半で光市にある杵崎海岸近くの普顕寺駐車場に到着しました。駐車場にはすでに車がいっぱいとまっており、カメラを持った人もたくさん集まっています。
 駐車場から海岸まで山道を20分程歩かなくてはいけません。山道の入口や途中にもたくさんの案内看板があり、『こんなに見にくる人が多いのかぁ!』とあらためて期待に胸を膨らませました。やっとの思いで山の頂上へ着き一息ついていると、同行したスタッフから「まだまだですよ!」と悪魔の声が聞こえてきます。やっとの思いで海岸へ到着した時にはもうすでにへとへとに…。なるほど、あれだけみんなを誘っても来なかったのはこういう訳だったんですね。

 海岸では、光市の教育委員会の方が産卵を見学するにあったての注意書きが書かれた紙を配っています。クサフグはとても警戒心が強く、産卵を行う時はまずオスが偵察に来ます。そして、安全を確認してから産卵が始まるため、それまでは静かにしておかないといけません。
 この日の産卵予定時刻は15:15。しかし予定時刻を過ぎてもなかなか現れず、みなさんからため息まじりの心配の声が…。そして教育委員会の方もトランシーバー片手に望遠鏡をのぞきながら必死でクサフグを探しています。

 15:30。海岸右奥の方に人だかりができ始めました。行ってみると、なんとそこにはクサフグが!!岩の間にストランディングしながらも必死に産卵をしています。ついにクサフグの産卵に立ちあえた!と思いながらも、『あれ?!こんなに少ないの…?』そこにいたのは20尾程の小規模の群れだったのです。またも周りからため息がもれます。

 時刻はもうすでに16時をまわっていました。『今年はもう来んのかなぁ…』と諦めかけたその時、「向こうの方がよけぇ〜(いっぱい)おるのに!」と親切に教えて下さった方がいました。そこは、最初見学した場所から約300m離れたところです。見終わって引き返してくる人が多い中、『もうすでに終わっているかも…』とあきらめと少しの期待を胸に行ってみると…

 いました!!約2万匹(!?)のクサフグです!まだたくさんのクサフグの群れが、産卵していたのです。

 それから約1時間。産卵をじっくり観察することができました。感動に浸りながらも、毎年見学に来られている人や教育委員会の方に聞いてみると、集団産卵にくるクサフグの数は年々減少しているとか。この減少の理由を解明していくことも水族館の大切な仕事の一つだなぁ…と思いつつ帰りの車の中では爆睡してしまったのでした。みなさんもぜひクサフグの産卵に立ちあってみて下さい。
 
 海響館では3F「沿岸のフグ」でクサフグを展示しています。普段は砂の中に潜って顔だけ出しているので、よ〜く探して下さいね。
※クサフグは、昭和44年2月4日に山口県の天然記念物に指定されています。

入り口の看板写真いよいよ出発もうすぐ山頂です海岸に到着お静かに産卵の様子白濁した海海響館のクサフグ

魚類展示課 野村 美沙紀

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