第9回 お彼岸つながり

暑さ寒さも・・・
 ついこの前までツクツクボウシが鳴いていたかと思うと、稲刈りがはじまり、真っ赤に成熟したナツアカネがみられるようになりました。水田のあぜ道にはヒガンバナが列をなして開花しています。秋の彼岸に開花するためこう名づけられたこの多年草は、マンジュシャゲとも呼ばれ、身近な野草のひとつ。今回は、「彼岸」つながりで・・・ヒガンフグについて書き綴ってみたいと思います。(なんて単純)

彼岸花9月17日下関市内にて ヒガンフグ
関門海峡水槽、フグの世界にて展示中

 ヒガンバナとヒガンフグ、単なる名前つながり以外にもいくつか共通点があるのです。それはというと・・・。

 ヒガンフグは、体表にいぼ状の突起が密に分布し、茶褐色の地に黒褐色の斑紋をもつフグ科の魚です。フグ科を見分ける時に体表をさわってみるということを時々行いますが、つるっとしていたり、小棘を持つ種はザリザリしていたりという種がほとんど。ヒガンフグの場合は、いぼ状突起。これはなかなかない感触。例えていうならバスケットボールの表面のような感じです。名前の由来は秋ではなく春の彼岸の頃に産卵のために群遊し、多量に捕れるためとか・・・。この頃が美味だからともいわれています。下関周辺の海ではコモンフグ、クサフグに次いで、よくみることができ、沿岸にすむフグベスト3といえるでしょう。大きさは10センチ以下から30センチ以上のものまでいろいろです。

 眼が赤いのでアカブク、アカメフグとも呼ばれます。ヒガンバナも放射状の赤い花をつけますよね。これが1つ目の共通点。標準和名がアカメフグという別のフグがいるので注意が必要です。(関東から中部地方の沿岸に多く、下関には分布していないようです。)以前他県の水族館からアカメフグが捕れるとのこと。早速宅急便で送ってもらったことがありますが、開けてみるとヒガンフグだったということもありました。

アカメフグ 

 2つ目の共通点は毒。フグ毒(テトロドトキシン)をもつのはトラフグだけではありません。ヒガンフグの場合、皮膚や内臓(特に卵巣や肝臓)には強い毒を持っています。素人調理で食するなどもってのほかです。ヒガンバナは全草に毒があり特に球根に強い毒がるとのこと。それでも食用にされるという点も似ています。毒成分はアルカロイド系。子供の頃、ヒガンバナの茎をプチプチと折って、首飾りを作って勇んで家に帰り、母親に叱られた記憶が思い起こされます。あれはきっと、よそのお宅の田畑で遊んだのが悪かったのでも、女の子とばかり遊んだのが悪かったのでもなく、毒のあるヒガンバナで遊んだから。そう信じておきましょう。次の日も遊んだのは毒にあたったからでも、田畑の持ち主にみつかったからでもなく単に・・。話をもどしましょう。

 3つ目は分布。ヒガンバナ科の単子葉植物はスイセン、アマリリスなどが含まれ、主に熱帯、亜熱帯に分布します。フグ科魚類の分布は熱帯から温帯が中心です。ヒガンバナはもともと中国が原産地で、帰化植物であるのに対し、ヒガンフグは黄海、東シナ海にも分布するため、中国沿岸でもみられます。中国名は「豹のような紋をもつフグ」というような意味です。いくつか共通点があるもんですね。(ちょっと強引)中国ならばこの2種の生物に関する共通点がもっとみつかるかも。皆さんほかに何かご存知ですか?

魚類展示課 土井 啓行


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