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第89回 海藻ではなく海草?アマモ場の生き物たち

 みなさんは海藻(カイソウ)という植物は聞いた事ありますよね。では海草(ウミクサ)はどうでしょう?今回はその海草の仲間『アマモ』を採集してきたときの様子を紹介します。 アマモ
 海にある植物といえば?・・・と聞かれるとほとんどの人は海藻(カイソウ)と答えるのではないでしょうか?みなさんが良く食べるコンブやヒジキお味噌汁などにいれるワカメも海藻です。しかし海には海草(ウミクサ)と呼ばれる植物もいるのです。海草とは一度陸に上がった植物がまた海に戻ってきた仲間で、そのため海藻と異なり花が咲き、実がなるのです。
 その海草の代表的なものが今回採集してきたアマモです。おもに干潟や沿岸の浅い海域に「アマモ場」という藻場をつくっており、そこには様々な生物が生息しています。今回は採集時に見かけた生き物たちをいくつか紹介します
1. チャガラ
スズキ目ハゼ科
学名 Pterogobius zonoleucus
英名 Whitegirdled goby
 冬も終わり春のはじめの頃、藻場の中層によくオレンジ色の小さな稚魚が群れているのをよく見かけます。4月頃では成魚のような縞模様は見えないのですが、採集を行った6月頃になるとかなり大きくなり成魚のような縞模様が確認できます。このチャガラは成魚になっても群れ、日中に遊泳移動している姿を見かけます。青ともピンク色ともなんとも言えないような淡い体色にきれいなオレンジの縞模様がきれいです。
チャガラの幼魚の群れチャガラ成魚
2. クツワハゼ
スズキ目ハゼ科
学名 Istigobius campbrlli
 全身に赤や褐色などの斑点が星のようにちりばめられ、鰓蓋にも青い斑点が入ります。普段は単独で行動していますが、7月頃の繁殖期になるとオスがメスを求めて行動するようになり、よくオス同士で背ビレ、尾ビレを立てて威嚇し合っているのが見かけられます。その頃はオス、メス共に体色がいっそう鮮やかになるようですね。
クツワハゼ
3. オハグロベラ
スズキ目ベラ科
学名 Pteragogus flagellitfer
英名 Cocktailfish
 よく海藻の豊富な場所に見られ、海響館でも「藻場」水槽のなかで海藻の上にちょこんと乗っかりながら波にゆらゆら揺れています。この魚は性転換をする魚でメスからオスにかわることがあり、オスになると、背ビレの前部2棘が長く伸びるのですぐ区別がつきます。写真の個体はメスの個体です。
オハグロベラ
4. アオリイカ(卵)
ツツイカ目ジンドウイカ科
学名 Sepioteuthis lessoniana
英名 Big Fin Reef Squid
名前の「アオリ」というのは、乗馬の際に使用する道具のひとつに「泥障(あおり)」というものがあり、そこから名前がついたとか。本州の方では初夏に産卵が見られ、沖縄では10月〜12月頃をのぞいて一年中産卵が見られるようです。写真は少し見づらいですが細長く、真っ白な卵塊がアマモに産みつけられているところです。
アオリイカの卵
5. アオウミウシ
裸鰓目イロウミウシ科
学名 Hypselodoris festiva
 名前の通り体地色は真っ青のウミウシです。その青地にはいる黄色の斑点がとても際だっていますが、個体によっては黄色の斑点が消失しているものも見かけることがあります。体の後方に白と赤の花のようなものがありますが、実はそれが魚にもある鰓(えら)になるのです。
アオウミウシ
 今回紹介した生物はアマモ場でみることにできる生物のほんの一部です。もっとよく探してみればまだまだたくさん発見できるでしょう。小さな面積のアマモ場でも大きな生物から小さな生物まで生息している大きな一つの生態系ができているのです。

※ アマモなどの海産種子植物を「海草」と呼びますが、(カイソウ)と読むと「海藻」との区別がつかないため、(ウミクサ)と読むことが多い。


魚類展示課 園山 貴之

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