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第77回 レントゲン写真−おさかな編−


 皆さん、これが何だかわかりますか?そう、誰もが健康診断等で一度は目にするレントゲン写真です。でも普段よく見る人間のものとはちょっと違いますよね。実はこれはお魚のレントゲン写真なんですよ。この写真はエイの仲間(ウチワザメ)のものです。

ウチワザメ
ウチワザメ


 お魚のレントゲン写真は、軟X線装置という機械を使って撮ります。これは基本的には医療用のレントゲン装置と同じような装置ですが、透過力の弱いX線が利用されている点で異なります。透過力が弱いので、鮮明さ・細かさには少々欠ける部分もありますが、その安全さ・手軽さから様々な生物に使えるという利点があります。


軟レントゲン装置
軟レントゲン装置


 ではなぜお魚のレントゲン写真などを撮るのでしょうか。わざわざレントゲンなどを使わなくても、解剖を行って詳しく観察した方が良い感じがしますよね。しかし、その魚が市場で売られる商品である、貴重な標本である等、魚体に触れることができない場合はどうでしょうか。そんな時に軟X線装置の登場です。お魚に指一本触れないで内部を観察できるというのがこの装置の利点なんです。この装置を使えば、空港の荷物検査と同様に商品の魚体に異物がないか等を調べることができます。 


 レントゲン写真からは様々なことがわかります。

例えばこのマアジのレントゲン写真からは、

@ 脊椎骨は24個である。

A 胸ビレと腹ビレの付け根の骨がつながっている。

B 尻ビレの付け根の骨と背骨がしっかりとつながっている。

C 耳石がある。

マアジ
マアジ

 ということ等が読み取れます。@は魚種の同定等に役立ち、A,Bは、マアジが進化上比較的高度な魚であることを示しています。また、Cはとても重要なんですよ。

耳石とは、魚の内耳に存在する、振動などを感知する器官のことです。耳石といっても石ではなく、骨と同じカルシウムでできています。そのためレントゲンにも写るのですが、この“耳石”がなぜ重要なのでしょうか?それは耳石を調べることによりその魚の年齢がわかってしまうからなんです!

耳石は、年齢とともに大きくなり、魚の成長にあわせて木の年輪のような縞模様ができてきます。成長の良い夏はカルシウムの細かい結晶がたくさんできるので光を通しにくくなります。これに対し成長の悪い冬は大きく平らな面をもった結晶ができ光が通りやすくなります。これが縞模様となって現れるんですね。この縞模様を数えることにより、年齢がわかるというわけなんです。また、耳石は扁平(へんぺい)石、礫(れき)石、星状(せいじょう)石というものが左右3カ所ずつありますが、普通、礫石、星状石は、小さいので、一番大きい扁平石にある年輪を数えます。耳石は硬いので、化石になって残りやすく、また、その形から魚の名前やグループ名を特定することもできます。

 お魚のレントゲン写真、いかがだったでしょうか?皆さんも、レントゲン写真を撮った時はすべてを先生任せにするのではなく、写真をじっくりと観察してみると面白いかもしれませんね。

協力 (独)水産大学校生物生産学科 須田有輔教授



魚類展示課 石橋將行

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