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第68回 下関版海洋危険生物 −2−

 下関沿岸の表層水温は、例年6月上旬頃より20度を越えるようになり、これはすなわち、夏海の季節の到来です。5月頃から海風に誘われて、そわそわいそいそむずむずとなる方は、「海が好き」病といえるのでは。

 下関周辺の海で遊ぶ時にちょっと気をつけたい生き物として、アカクラゲ、アンドンクラゲ、ガンガゼ、アカエイ、ミノカサゴ、オニオコゼ、ゴンズイ、アイゴを昨年取り上げ紹介しました(詳しくはお魚探検隊No. 52)。今回はその続編として、磯やタイドプールで出会いやすい生き物を紹介します。

1. シロガヤ・・・軟クラゲ目ハネガヤ科 Aglaophenia whiteleggei
一見植物のようにもみてとれますが、クラゲと同じ刺胞動物です。
磯のくぼみや岩かげに群体となり生息しています。
肌が直接動物体にふれることで刺胞毒が注入されます。患部の痛み、かゆみ、水ぶくれなどの症状があらわれます。食用酢(5%酢酸水)にてかけ流して下さい。手やタオルなどでこするのは逆効果です。

2.ウミケムシ・・・ウミケムシ目ウミケムシ科 Choeia flava
釣りの餌虫として知られているイソメやイワムシと同じ環形動物です。
浅海にもみられ、砂泥底に生息しています。夜釣りをしていて釣れたという経験がある方もいるのではないでしょうか?
体表の毒毛に触れると、痛みやかゆみがあります。
こすらず、毒毛を抜き取って下さい。

3. ラッパウニ・・・ホンウニ目ラッパウニ科 Toxopneustes pileolus
房総半島相模湾以南の潮間帯から潮下帯に生息しています。下関には生息しないものと思っていましたが、2004年3月21日下関市安岡沖にて建網に殻径10cmに成長した個体が漁獲されました。
長い棘の間に叉棘(さきょく)を持ち、先端のカギ爪より毒をだします。ウニをわしずかみにした際、何も起こらない人もいますが、腫れや痛みをこうむることもあります。
叉棘を取り除き、40〜50度位のお湯に1時間程度浸しましょう。
ガンガゼも同様の応急処置で効果があります。

4.ハオコゼ・・・カサゴ目ハオコゼ科 Hypodytes rubripinnis
タイドプール、浅海のアマモ場、岩礁域に生息します。
全長10センチ程度の小さな魚種ではありますが、あなどってはいけません。
背びれの棘に毒を持ちます。傷口をきれいに洗浄し、40〜50度のお湯に1時間程度痛みが和らぐまで浸しましょう。ミノカサゴも同様です。

5.ニジギンポ・・・スズキ目イソギンポ科 Petroscirtes breviceps
岩礁域、内湾の藻場に生息します。ロープ、いかだ、海藻のそばを活発に泳ぐ全長10cm程度の魚です。体に似合わず、下あごに大きな牙状の歯をもっています。小さな魚だからと安易に手づかみしようものなら、その牙でかみつかれるかもしれませんよ。毒はないようです。

シロガヤ
シロガヤ
ウミケムシ
ウミケムシ
ラッパウニ
ラッパウニ
ハオコゼ
ハオコゼ
ニジギンポ
ニジギンポ

 これらの生き物の中で実際に私が例年被害にあっっているのがシロガヤです。浅海の磯で岩のすきまなどに隠れている生き物を見つけるのに夢中になっていると知らぬ間に刺されています。海からあがり少しすると首筋や腕にかゆみを覚えます。患部をみると何やら赤く腫れている・・・といった感じです。海に入りシロガヤがたくさんいる場所では気にしつつも、楽しい生き物探しがはじまるとついつい注意がおろそかになってしまうものですね。

「海が好き」な皆さんへ
「海が嫌い」にならないために、体がチクチク、ひりひりした時には病院で診察してもらいましょう。毒を持たない生き物でもおろそかにはできません。岩上の海藻ですべってフジツボやカキで切り傷を負ってしますこともあります。海に出かける前には天候、海況、潮位などを調べましょう。そして、楽しい夏を過ごしましょう。

--参考図書--

小浜正博 1995 「海洋咬刺傷マニュアル」 ピークビジョン
小林照幸 2002 「海洋危険生物」 文春新書
西村三郎編 1992 「原色検索日本海岸動物図鑑氈v 保育社
日本自然保護協会編 1989 「野外における危険な生物」 思索社
橋本芳郎 1977 「魚貝類の毒」 東京大学出版会
吉野哲夫・悦秀満 1995 「海の危険な生物たち」 琉球出版社


魚類展示課 土井 啓行

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