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第66回 春になったら、カナギ漁


 カナギとは山口、北九州でのイカナゴの地方名です。
煮干しの「ちりめん」佃煮の「くぎ煮」は保存食として知られています。
漁獲高では兵庫、香川、大阪、岡山などが多く、山口では、年間約40トンが漁獲されています。山口県の漁獲量の約9割は瀬戸内海で漁獲され、漁期は3月です。そのためイカナゴは瀬戸内海に春を告げる魚といわれます。
 福岡市漁業協同組合西浦支所の協力により、玄界灘のカナギ漁に乗船してきました。早朝、日の出前から船曵網漁業と呼ばれる漁が始まります。漁場は水深20〜30メートルの砂地。魚群探知機で中層を泳ぐ群れを発見すると、手早く網を沈め、囲み、網を曵きます。漁具全長は約100メートル。
網を手繰っていくと、コッドエンドには大漁のイカナゴ。イカナゴ以外の魚はアカエイが1個体のみでした。船上に一度に運ぶこむことができないため小分けにして取り込みます。
漁獲されたイカナゴは通常陸上に運ばれるとすぐに釜ゆでにされますが、ていねいに網ですくい活魚トラックで下関まで輸送しました。
 水槽に搬入したイカナゴは弾丸のようにあっという間に砂に潜ってしまいました。トラフグの砂への潜り方とはずいぶんと違い、俊敏です。完全に砂中のものもいれば、顔だけ砂上にだしているもの、なかには尾びれだけ砂からだしているものもいます。また、砂からでてくる時も一瞬で、いきなり飛び出して来ます。
イカナゴの体を改めてよくみると、細長く円筒形で下顎が上顎より突き出し、口吻は尖っています。各ひれは軟条だけでできています。
“くねくね曲がるけど、ぶすっと砂につきささるくぎみたいな魚”という印象を持ちました。英名は Sand lance〜確かに、槍の方が適確かもしれませんね。
 海響館のイカナゴたちは環境に少し馴れた様子。泳いでいる姿もちらほらみることができるようになってきました。しかし、砂のなかにはわんさかイカナゴが隠れています。砂中のアクリルガラスに眼だけがこちらの様子を伺っているものもいますよ。砂中のイカナゴを手づかみしようものなら、もぐらのごとく想像以上の速さで移動します。まさに砂の中を泳いでいるようです。
魚群探知機
魚群探知機
イカナゴの取り込み
イカナゴの取り込み
これがイカナゴの全身
これがイカナゴの全身
砂に潜っているイカナゴ
砂に潜っているイカナゴ
砂中のイカナゴ
砂中のイカナゴ

魚類展示課 土井 啓行

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