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第61回 “棒かじめ”を知ってるかい

 “棒かじめ”とは棒状に巻かれたかじめの事で、棒巻きかじめとも呼ばれます。山口県北西部の日本海沿岸の北浦地方の海産物です。
 ここでいう“かじめ”とは、褐藻綱コンブ目コンブ科に属するアラメを指します。アラメの形は今ではちょっと懐かしい 掃除道具の‘はたき’そのもの。カジメという海藻も実際にあり、この2種はとてもよく似ています。その違いはカジメの茎が1本ですらっとしているのに対して、アラメの茎は途中で二つに分かれていることで見分けることができます。北浦地方ではカジメよりもアラメの繁茂していることが多くみられ、棒かじめの原料になるのです。

 アラメカジメの仲間は高さ100センチ以上になり、3〜6年も生育します。群落を形成したものは海中林と呼ばれ、沿岸にすむ小さな生き物たちの隠れ家となり、また餌ともなります。海響館2階の藻場水槽ではアラメの展示を行っています。一見海藻しか見えなくても、海藻の隙間にはカニや小さな魚が潜んでいますよ。
 豊浦郡豊浦町室津漁協にて“棒かじめ”作りを見せて頂きました。漁期は主に1〜3月。刈り取られたアラメは、浜で干し、茎を落とし葉を整形したのち、各家庭で一晩寝かせます。これにより、全体がやわらかくなります。乾燥させすぎても、ねばりがとれてしまうので天候を見ながらの作業となります。
 天井からつるされた紐の先には目線の高さにフックがあり、ここにアラメの二つに分かれている部分をひっかけます。いよいよ‘“棒かじめ”作りのはじまりです。320グラムとなるように葉の付き具合により、数本をまとめて吊るします。その中の数枚の葉を使って二叉した部分より丁寧に巻いていきます。葉の先の方で細くならないようにあらかじめ別に葉を用意しておき、巻き足していきます。慣れた手つきで作業がすすみ、5分もすれば巻きは終了。フックからはずして両端を切り落とし、重さを量って多いめになっていればできあがり。横でみていると「ん!?・・・もうできちゃったの」。しかしながら、形よく作るには微妙な力加減があり何十年もやってのたまもの。室津でもこの棒かじめの作り手は5人程で、最近では機械を使ったきざみかじめに変わってきているそうです。
浜で干しているアラメ
棒かじめ作業
棒かじめ作業2
棒かじめの完成品(右)とアラメ(左)

 食べ方は汁物にあらかじめかじめを入れておいたり、暖かいごはんの上にのせていただきます。どちらも磯の香りを楽しみながら、海藻のもつ粘りをひきだし召し上がります。
小寒から大寒の間につくられた棒かじめはやわらかく粘りもよくでるとのこと。
またきざみかじめよりも棒かじめを食べる分量だけ手切りした方がより粘りがあり、おいしいそうです。地元ではこの他かじめを味噌漬にして食用にされるとのこと。
 カジメはミネラルを多量に含有し、粘りは、アルギン酸やフコイダンなどの粘性多糖類が成分です。生活習慣病やコレステロール低下作用、有害物質を体外に排出する排泄作用などの効果もあるそうです。
 コンブやヒジキ、ワカメも同じ褐藻の仲間。粘りを持っています。でも海での姿や食感はそれぞれに違いがありますね。
 海藻は1年で冬から春先までが最も多くの種類が繁茂し、潮がひいた磯や砂浜では色々な海藻をみることができます。冬の天気のよい日は海辺の海藻観察に最適ですよ。

協力 室津漁業協同組合 安永能子さん
   室津漁業協同組合 川本浩志さん


魚類展示課 土井 啓行

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