[最新一覧へ]

第49回 海響館で写真を撮ろうよ〜いきもの編〜


 最近は、デジカメだけでなくカメラ付携帯電話での撮影される姿もよくお見かけするようになりました。水族館、動物園はモチーフの宝庫といえるのでは。いろんないきものをみていれば、おのずとカメラを構えたくなるのも当然ですね。にわか写真師としてもせっかくの1枚、できれば上手に撮れるにこしたことはない。でも、水族館で写真を撮る機会はそうそう度々あるわけでもないし、今のカメラは高性能だからなんとかなる・・・とお思いのアナタへ 海響館のいきものたちの写真撮影についての話です。
 海響館で写真をとろう〜スナップ編〜での、“ストロボ撮影は正面からではなく、斜めから”は、アクリルガラスがある限り、いきものの撮影にも言えることすなわち鉄則です。
 また水槽の光量を有効に活用するには、アクリルガラス近くにいる生き物を撮影します。
水槽の奥にいるいきものは光量不足で暗い写真となってしまうことが多々あります。
アクリルガラスのそばにお目当てのいきものがいたならば、カメラマンもアクリルガラスに近づき、ちょうどガラス越しにお見合いをするような感じでいきものをよく観察しつつ、撮影するとうまくいきます。
 このように被写体に近づいて撮影するためには、できれば接写レンズの使用やマクロ機能があるカメラがあるといいでしょう。ご自身のレンズ(カメラ)の最短撮影距離を確認しておき、撮影時の参考にします。
接写の場合、斜め45度からのみではガラスの細かな傷、こけ等の付着物を写しこんでしまい、できあがりの写真でいきものがうまく撮れていてもめざわりになることがあります。
 斜めからでも少しずつ角度を変えて撮影しておくことをおすすめします。
 アクリルガラスに近づいての撮影中つい夢中になり、見落としがちなのが、ガラスの接着部分です。撮影前に位置を確認し、ガラスの厚さに感心したらその部分での撮影は避けましょう。


反射防止用の厚紙
 アクリルガラス近くでの撮影では、撮影者の服、カメラ本体、水槽まわりの金属物、解説パネル、通路照明などが写りこむことがあります。ラメ入りの服よりも黒系のものなどを選びます。きらびやかな貴金属類も控えめにしましょう。カメラ本体には、黒い厚紙が威力を発揮します。お菓子の空き箱などを適当な大きさに切り、つや消しの黒で塗装し、レンズの大きさにくり貫き、取り付けます。本体のみならず、カメラのロゴ、撮影者の指、指輪の写り込みも防ぐことができます。

 水槽まわりの金属物には黒いタオル、ハンカチなどで反射を防ぐと撮影可能な幅が広がります。通路照明やパネル照明、非常通路の表示などはいたしかたないものは、撮影場所などを変えてみます。「どうしてもこの構図でここでないと撮影できない!」なんて頑固な考えは持たず、場所を移動しましょう。

 秘策は黒い傘。これを肩にして撮影すればこんな悩みも即解消。ただし周囲の視線に耐え、警備員さんが飛んでくるまでのつかの間しかありません。全身ギラギラ発色、蛍光、原色服ではいきものも恐れて近づかないでしょう。とはいえ、黒い服に黒い傘、足元には黒いタオルでは要注意人物となりますのでほどほどに。

 撮影したくてもいきものは専属モデルのようにお望みのポーズをとってくれません。
 すぐにあきらめてしまわずに、しばし水槽の前で我慢、観察。そうすると、行動パターンがわかってきます。あとはタイミングとアナタの腕次第です。
例えば、2階温暖水槽の住魚ハタ類はアクリルガラスの前にどっしりとし魚体も大きいため撮影入門魚(写真)。逆に瀬戸内海水槽のカタクチイワシは常に遊泳しており、群れをつくるためピントを決めにくく、ストロボにより鱗が光るため上級者向き。


 2階「生きている化石」オオサンショウウオと共に展示しているタカハヤを200万画素の一般的なデジカメで撮影してみました。

 ●写真1:みごとな失敗例その1。ストロボの光が反射し、魚の胴体に縦に走る白いものは、ストロボの光を水槽枠がアクリルガラスに反射したものです。

 ●写真2:失敗例その2。タカハヤに光が当たりすぎ、鱗が反射してしまいました。

 ●写真3:タカハヤの遊泳スピードにカメラがついていかず、ピントがずれています。

 ●写真4:遊泳スピードが落ちたところを撮影。タカハヤ本来の魚体の色合いに近づけ付けました。でも、魚体の向きにもうちょっと動きがでれば、それからピントがまだまだ・・・未熟者の証ですね。
ヤイトハタ
写真1
写真2
写真3
写真4

  
 お気に入りのいきものが見つかり、撮影する段となったら、いきものの眼にピントをあわすことを心がけます。ファインダー越しに眼を凝視します(魚は基本的にまばたきをしません)。よくみると眼をキョロキョロ動かす姿やいろんな表情がみえてきます。
魚がこちらに眼を向け、眼があった瞬間がシャッターチャンス。

 写真は少しずつ条件を変えて何枚も撮っておきましょう。
 コンパクトカメラなどでは距離、角度、ストロボなど、一眼レフでは露出、シャッタースピードなども、デジタルカメラなら測光方式、ホワイトバランス、ISO感度などなど・・・。
 オートで2,3枚といわず、これぞと思ったときには時間をおしまず、ケチらず撮ることが大切です。

フラッシュ撮影禁止のマーク
 ストロボ撮影については、控えて頂いている水槽にはその旨表示しております。多くの水槽では問題ありません。ストロボはきわめて短い瞬間発光なので意外と生きものたちも気にしないし、怖がることもないようです。

 撮影スタイルは人それぞれ。好きな生きものを決めていろいろ撮るのもよし、気に入ったものを手当たりしだい撮るのもよし。何気なく見るよりも、撮影しつつ観察するといきものの表情だけでなく、習性や細部の特徴などもあらためてわかることがあります。
 納得の写真が1枚撮れるとそのいきものの名前が知りたくなったり、特徴を調べたりということにつながるのではないでしょうか。

 カメラを持って海響館へ。まずは写真を撮ってみませんか?


魚類展示課 土井 啓行

[最新一覧へ]