お魚探検隊!第29回 Big Head Fish は誰だ?


 ある日のマンボウ水槽での出来事。マンボウに餌を与えるのを観客通路からみようと待っていました。隣では若いカップルが仲良くマンボウを眺めている時、水面から“ぬ〜っ”と餌を与える係員の手そして腕。ひるむカップル。そして立ち去る前に一言、「ホラーハウスよりもスリルあるね」。あの時のお二人すみません、驚かすつもりはなかったのですが・・・。
マンボウ
 マンボウの英名はOcean sunfish, Head fish と呼ばれます。Head fish とは体型、ヒレの形態があまりにも魚類のなかでも特徴的なため、体のほとんどが頭にみえてしまうことから名付けられたようです。言いえて妙。うまく表現したものですね。

 魚体の大きさやプロポーションを表現するのに、魚類共通の決められたルールに則って測定を行います。この中には「頭長」もあります。ここで、1つの疑問を持ちました。
「マンボウは真のBIG HEAD FISH と言えるのでしょうか?」
 ということで、マンボウ対フグ目魚類および下関周辺で採集された魚類(合計50種)との頭長比べをしてみました。ではしばらく、かずの遊びにお付き合い下さい。

 別紙表より、マンボウの頭長率は32%、約3頭身で、フグ目魚類の中においても、ハリセンボン(ハリセンボン科)やメガネハギ(モンガラカワハギ科)の方がより頭でっかちであるといえるようです。このさらに上をいくのがダルマオコゼ(左上写真)やマツカサウオ。参考までに、マツカサウオは実は生体を瞬時水から取り出し測定したものです。
そして見事暫定1位に輝いたのはキアンコウ(左下写真)。なんと体の半分が頭部だったのですね。響灘の底曳き網に手のひらサイズの個体が入網し、測定したものです。
 しかし、魚の世界は広し。日本周辺でさえ、深海や北の海にはまだまだ「頭のでかさなら負けないぜ」といわんばかりの魚たちがいるのをお忘れなく。
ダルマオコゼ キアンコウ

マンボウの目のアップ
 せっかくいろんな魚のプロポーションを測定したので眼径率も比べてみました。
結果、マツカサウオ(13%)を筆頭にマツバスズメダイ、カゴカキダイとなりました。また、メバルはその名に恥じず10%です。これは、一般に「かわいい」と賞され人気のある魚たちの共通点であるような気がします。魚もヒトも、眼がぱっちりしているというのはやはりうらやましいものです。マンボウは全体平均(6%)よりも少し小さいというやや意外な結果となりました。

 とはいってもマンボウはやっぱり水族館の人気者。「3頭身の丸い体つきにのほほんとした雰囲気」これって勝手な解釈かもしれませんが、ヒトをはじめ動物の赤ちゃんの特徴と重なるような気がします。マンボウは、成長してもそんな特徴を備えた生き物といえるかもしれませんね。

魚類展示課 土井 啓行

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