お魚探検隊!第20回 水槽掃除の裏話

 まだまだ寒い日が続きますがみなさんいかがお過ごしですか?こんな寒い日にはちょっとやりたくない気分になりますが、どんな日でも私たちが欠かさず行わなければならない仕事のひとつに「掃除」があります。皆様に気持ちよく見て感動してもらうためにも、この「掃除」は地味なようでいてとっても大切な仕事なのです。そこで今日は、私が担当する関門海峡潮流水槽を例にして「掃除」について探っていきましょう。
関門海峡潮流水槽(4階)
 

 まず、毎日の掃除です。毎日、水族館がオープンするまでにアクリルガラスを掃除します。この水槽は、アクリル越しに水槽と実際の関門海峡の風景をごらんいただける絶好のロケーションになっていて海響館一の見せ場になっています。そんなすばらしいロケーションを台無しにしないように、アクリルについた水垢(みずあか)、塩の結晶などを丁寧にワイパーでふきとります。そして、約20cmの厚みがあるアクリルの上に積もったほこりを、雑巾がけの要領でふき取ります。水槽の上にもほこりが毎日たまるなんて以外に思われるかもしれませんが、海響館は床がじゅうたんのためほこりが立ちやすく、毎日掃除してもけっこうほこりがたまるのです。アクリルは皆さんが想像する以上にやわらかいので、すぐに傷がついてしまいます。せっかくきれいにしても傷だらけにしては何にもなりませんから、このアクリルガラスの掃除は細心の注意を払いながら行います。
水垢と塩の結晶を取り除いて
ワイパーできれいにふき取る
 

 次に週に1〜2回の掃除です。これは主にコケによる汚れを落とす作業になります。海に行くと岩になにやらぬめぬめしたコケが生えてるのを見たことがありませんか?海響館に入れている海水は天然海水(関門海峡から取り入れています)ですから、ほとんど自然界と同じ環境なのです。ですから当然、自然界で生えているようなコケが水槽のなかでも生えてきます。アクリルガラスにコケが生えると魚が見えにくくなりますよね?せっかく訪れてくださったお客様に魚を十分に観察していただくために「いつもきれいに」を心がけています。
ひたすらゴシゴシゴシゴシ
 

 このコケ取り掃除は、他の水槽では週に1回くらいの割合で行えばいいのですが、ここの水槽はそれよりはひんぱんに掃除をしなければなりません。関門海峡潮流水槽の写真を見ていただいたいたら分かるように、ここには自然の光がさんさんと入ります。植物であるコケは、同じ様な環境の元では光が強い方が成長が早いのです。ということは、ひんぱんに掃除をしなければならないとなるわけです。
コケ掃除は、水槽の大きさ(深さ)によって潜ってスポンジでこするか、陸上から長い柄のついたスポンジでこするかのどちらかに分かれます。使用するスポンジやブラシはごく普通の一般のご家庭でも使われているものです。これを水槽ごとに長い柄をつけてところによっては途中を曲げたりして使いやすいように細工をしています。関門海峡潮流水槽は海響館一の大きさですから上からスポンジブラシをのばして掃除をするわけにはいきません。ですから、潜水用ボンベを背負って、何時間もひたすらスポンジを使って掃除をします。もちろん、水槽の中に生きものが入ったままの状態で行うのですから洗剤や除草剤は使わず、ひたすらコケがなくなるまでこするのです。


 最後に一ヶ月に1回の掃除は、底の砂の中にたまっている食べかすや、フンなどを水中版掃除機で吸い取るバキューム掃除をします。他には、サンゴ礁水槽の擬サンゴ(作り物のサンゴ)のコケ落とし、底砂の入れ替えなど大掛かりな掃除をします。(写真のオレンジ色のホースが掃除機のさき。ここで底のゴミを吸い取ります。このホースは水槽の外につながっていて汚れはそこに吐き出されます。)
底にたまったゴミを
掃除機で吸い取り中

 魚類の飼育係は仕事の大半は掃除をしています。これは魚に快適な生活を送ってもらうためであり、健康な環境を整えてあげるため、そしてお客様によろこんでいただくためです。そう思っているのは飼育係だけで、当の魚たちからすると「平穏な生活をしているところにうるさいな!」と思っているかもしれませんが、掃除を終えてきれいになった水槽の前でアクリルガラスにへばりつくように熱心に魚を見る子供達の横顔を見ながら毎日満足にひたっているのです。                  

魚類展示課 増田 直久


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