お魚探検隊!第18回 お魚さんたちの舞台裏

 海響館にはたくさんの魚たちが暮らしていますが、かれらの故郷は様々です。海響館のすぐそばの下関の海から来た魚もいれば、遠く海外からやってきたものもいます。そんな魚たちが快適に暮らしていくには、魚にとっても飼育員にとってもちょっとした苦労が必要なのです。


 海響館に到着した魚たちは、いきなり展示水槽にデビューするものもありますが、みんなそうというわけではありません。まずは、水族館という環境になれてもらうために予備水槽に入ります。そこで初めて食べ物が上から降ってくるという超常現象に出会うわけです。もちろん、自然界で魚の切り身や冷凍解凍された餌を食べているわけがないので、この頭の上から落ちてくるエサは、きっと彼らにとって未知のものとの遭遇にちがいありません。でも、思わず口にいれてみると、「お?なんだか食べ物らしいぞ」なんて思うのかもしれませんね。
予備水槽
(大小さまざまな大きさの水槽があります。これは中くらいの大きさのもので、右の箱のようなものが水槽、左がろか槽です。)
 
 すぐに食べてくれるものもいれば、何日たってもエサを食べてくれない魚もいます。そういう時には、給餌棒(きゅうじぼう)というものを使って目の前でエサが生きているように動かしてみたり、エサの種類をかえてみたりと工夫をこらします。時々、「こいつは一体何を食べているんだ」と思うくらい、何も口にしないのに何ヶ月も元気に生きているお魚もいます。
お食事ですよ
(多くの場合このように水槽の上から全体に広がるようにエサを落とします。)
 
 以前、ある魚がぱたりと食べなくなってしまったのに、日に日に太っていくということがありました。「なんでだろう?」と疑問に思いながら見ていると、どうも同居している小魚の数が減っているような・・・・そうなのです。どうやら彼らはその魚たちを食べていたようなんですね。このように同じ水槽に入れる魚の組み合わせも重要なポイントなのです。まあでも、ほとんどの魚たちが次第に環境になれてくれて、元気な姿で展示水槽にお引っ越しすることになります。
エサに食いつく魚たち
 


 今展示水槽に出ているヒブダイは、予備水槽にいる頃飼育員の間ではちょっとしたアイドルでした。小さな窓から顔を半分だけのぞかせてじっと外を見ている姿は、何とも滑稽で、なんだかすべてを見透かして見られているようでいつもドキドキさせられました。そんな彼らも今は2階のサンゴ礁水槽で他の魚たちと悠々と泳いでいます。あのギョロっとした目つきを見ると窓から覗くあの姿を思い出して、思わず笑いそうになるのです。

ヒブダイ(2階サンゴ礁水槽にて展示中)
 


 最近、予備水槽に仲間入りした「ペーシュ・カショーロ」はまだ5cm位の大きさですが、成長するとなんと40cmにもなる大型魚なのです。もう少し大きくなったら、2階の淡水エイと同居予定です。早く元気な姿でみなさんの前にお目見え出来るといいですね。(※平成14年1月20日に2階‘熱帯雨林の生きもの「淡水エイ水槽」’に展示始めました。)
ペーシュ・カショーロ
 

 中には、怪我や病気などで予備水槽にかえってくる魚たちもいます。痛々しい傷や元気のない姿を見るのは辛いですが、きちんと治療して元気になる日を待ちます。
飼育員の一日は水槽を見て回ることから始まり、また見て回ることで終わります。ひとつひとつの水槽をじっくりみて、魚たちの様子をいつも見守っています。みんなが元気で泳いでいる事が一番の喜びです。もし、水槽の前でじっと動かない飼育員を見つけたら、その視線の先をたどってみてください。何か新しい発見があるかもしれません。

魚類展示課 木村 公美


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