第17回 クラゲの世界へ

 皆さんは、クラゲを見て何をイメージしますか?英名‘Jelly Fish'、漢字では「海月」・「水母」など表され、骨格をまったくもたず消化器系・循環器系などといった器官もそれほど整っていない、ゼラチン質とほとんど水分でできた生きもの。それがクラゲ。私にはなんだか宇宙を漂っている不思議な生命体の様に感じてしまうのです。


 そもそもクラゲってどういった分類に属するのかというと、刺胞(しほう)動物と有しつ動物に分類されます。‘刺胞動物’や‘有しつ動物’といってもピンとこない人が多いかと思いますが、‘刺胞動物’にはイソギンチャクやサンゴやミズクラゲといった生きものが、‘有しつ動物’にはくしクラゲなどが分類されるのです。どうして全然形のちがうミズクラゲやイソギンチャクたちが近いグループなの?っておもった方! それは私たちがクラゲの生活史の中のある一部分だけをみて、それでクラゲのすべてだと誤解しているからなのです。実は、クラゲたちはびっくりするほどに「変身」をくりかえしていてるんです。

 ミズクラゲを例に挙げてその変身ぶりを見てみましょう。私たちが普段目にするクラゲは、大人のクラゲ(成体)。ミズクラゲも多くの生きものと同じようにちゃんとオスとメスにわかれています。そして、オスは精子をメスは卵を形成しそれらが出会って受精するのです。受精した卵は、細胞分裂を繰り返して‘プラヌラ’幼生になります。このプラヌラ幼生はしばらく海中を遊泳した後、姿を変えて「ポリプ」と呼ばれる付着生活に入ります。このころのポリプ幼生の姿をよーく見てください。「イソギンチャク」に似ていると思いませんか?こうしてみると、イソギンチャクとクラゲが同じ仲間だと言われても納得出来ますよね?
 そのポリプはどんどん成長し、2mmほどになると、次々とくびれて横に分裂し‘ストロビラ’となります。やがて上から一つずつ離れ‘エフィラ’幼生となって海中を舞い始めます。その後成長を続けてようやく私たちのよくめにする大人のクラゲ(成体)となるのです。

ミズクラゲの生活史 
※画像をクリックすると拡大図がご覧いただけます


海響館には、クラゲの水槽が3つあり、主に下関近辺で見られるクラゲを採集・展示しております。季節によって採集できる種が異なるため、これまでさまざまなクラゲの飼育を試みました。アンドンクラゲ・ウリクラゲ・カミクラゲ・アカクラゲ等々・・・・。長期にわたって飼育できた種もあれば、残念ながらごく短い期間しか飼育が出来ずその飼育方法に苦慮したものまでいろいろでした。現在では、ミズクラゲとタクコラゲ、アマクサクラゲの3種類を展示しています(1月22日現在)。

ミズクラゲ
タコクラゲ
アマクサクラゲ

ところで、先に述べたミズクラゲのポリプがなんと今なら海響館で見ることが出来ます。水槽の下の方に白くもやもやしたものがたくさん付着していますが、これがミズクラゲのポリプ(赤ちゃん)なんです。たいていのお客様には「ゴミ」と思われがちなので、いつまで展示できるか分かりませんが、海響館に遊びに来られたときには是非探してみてください。

 私はまだクラゲとつきあい始めて(飼育にたずさわって)半年くらいしかたっていないのですが、クラゲはデリケートで魚に比べるともろい生きものであるため、採集・そして水槽への搬入、エサの与え方やエサの種類などすべてに神経を使い慎重に行います。クラゲをお世話しつつ、時には沈んでしまった私の心を癒してくれる、、、、そんな関係です・。

魚類展示課 榎本 三和


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