お魚探検隊
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第150回 「身近な生きている化石 カブトガニ」

 地球が誕生して46億年。様々な生き物が誕生、進化そして絶滅していきました。しかし、大昔からその姿形を変えずに生きてきた生き物がいます。かの有名なチャールズ・ダーウィンは著書「種の起源」の中でそれらを「生きている化石」として紹介しています。
 現在でも、シーラカンスやラブカ、オウムガイなど有名な生き物が数多くいますが、今回は私たちに身近な生きている化石である、カブトガニの魅力を紹介します
カブトガニとは
 名前に「カニ」とついてはいますが、実際はカニよりもクモやサソリの仲間に近いカブトガニは、6億年前に栄えた三葉虫を祖先とし、2億年前のジュラ紀にはお馴染みの姿になりました。現在、世界には4種類のカブトガニの仲間がいて、日本にはそのうち1種が九州の北部や瀬戸内海の干潟に生息しています。
前がメス、後ろがオス
カブトガニの体
 カブトガニと言えば、丸く硬い甲羅に尻尾が1本。ひっくり返すと多数の足がある不思議な形。しかし、あの形こそが2億年前から変わることのない、干潟で生活するのに最適な体なのです。
 丸く強靭な体は他の捕食者からの攻撃を受け付けず、甲羅の下にある5対の歩脚は干潟での素早い移動を可能にし、水中では意外なほど速く泳ぐことができます。後ろに長く伸びた尻尾は尾剣と呼ばれ、浅瀬で裏返った体を起こしたり、遊泳中に舵をとる役目も果たします。また、2つの複眼と3つの単眼を持っていて、周囲の状況を的確に判断することが出来るのです。
甲羅の裏側には五対の脚があります
カブトガニの生態
 「身近な生きている化石」と呼ばれるカブトガニも、生息場所であればいつでも見られるというわけではありません。
カブトガニは主に6月下旬から9月上旬に産卵期を迎えます。それ以外の時期は深場で過ごしているのです。産卵期を迎えた成体は浅瀬へ移動し、オスはメスを見つけるとしっかりと後ろにしがみつき共に移動をします。常にしがみついているとオスはエサが取れないかと思うかもしれませんが、なんとその間はメスは採ったエサをオスへ渡しているのです。
産卵の準備が整ったつがいは満月の夜、砂の中に産卵をします。

カブトガニの幼生
 産み落とされた約3mmの卵は、夏の太陽の熱に温められ60日ほどで約7mmにまで大きくなり孵化します。(写真3「水槽内で産んだ卵」)
 孵化した幼生は一年後に最初の脱皮をするまで何も食べず、体内に蓄えた養分だけで過ごし、成体とは違い盛んに水中を泳ぎます。
 潮の流れにのって広く分布した幼生は、脱皮のたびに1.8倍ほどの大きさとなって、オスは14〜15回の脱皮をして11年目に、メスは15〜16回の脱皮をして11〜12年目に成体になるといわれています。そして、どちらも最後の脱皮で雌雄が決定します。
 また、多くの幼生が脱皮の途中で、力尽きたり、不完全な体になり死んでしまい、脱皮はカブトガニにとって命をかけた行動といっても過言ではありません。過去に水槽内で産卵された卵を第4齢(産卵後3年目)まで飼育したことがありますが、死亡原因のほとんどが脱皮不全によるものだったので、幼生の飼育のポイントは脱皮時の体力をつけたり、新しい体を作るためのエサにあるのではないでしょうか。
水槽内で産んだ卵
卵の中で大きくなります
孵化直後のカブトガニ

 こうして、ゆっくり、しかし確実に太古より生き残ってきたカブトガニは、近年、護岸工事などによる産卵場所の減少、干潟の環境悪化などにより日本での生息数は激減しています。
 ここ下関市でも瀬戸内海側の王喜や王司の干潟に生息しているため、海響館ではカブトガニの展示を行っています。そして毎年この季節になると水槽内でも産み落とされた卵を見つけることが出来ます。皆さんも海響館の水槽、または干潟へ出かけてみて、「身近な生きている化石」の不思議な魅力を感じてみてはどうでしょうか。



 魚類展示課  清家 和洋
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