お魚探検隊
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第143回 「ヤギの骨くらべ」

 ヤギと聞いてまず思い浮かべるのは「メェ〜」と鳴く哺乳類のヤギを思い浮かべる方がほとんどですよね。ですが、今回のヤギは海のなかのヤギ、サンゴの仲間です。
 サンゴの仲間といえば、暖かい海の太陽の光がたくさん降り注ぐような場所にいて、満月の夜、一斉に産卵するというイメージがある方が多いかもしれません。しかし、これもまた一概には言えません。ヤギの仲間の多くは、太陽の光があまり差し込まないような深い海に生息しているのです。
 ヤギの仲間の分布はまだよく調べられていませんが、ここ下関近海でもヤギの仲間が多く見られ、時折、漁師さんの網で獲れたヤギの仲間が海響館へとやってきます。ヤギの仲間がやってきた〜さあ展示しようとしたとき、飼育スタッフに厄介なことがあります。それは種名がわからず、魚名板が作れないこと。ヤギの仲間は、外見だけでは何という名前のヤギなのか分からないのです。
 
 ではどのようにして種名を調べるのかというと、多くの場合、ヤギの骨を調べるのです。

 木の枝のような形をしているヤギの仲間は、種類によっては指で簡単に曲がります。でもその枝の部分を輪切りにしてみると、中にびっしりと骨片(こっぺん)とよばれる0.1mm程度の小さな骨が詰まっているのが分かります。この骨片を取り出して種名を調べるのです。

 この骨片、種類が違えばもちろんなのですが、同じ種類でも部分によって形が違うのです。たとえば、フトヤギではポリプ部分に、針の先のようなとがった形の骨片が見られるのに、表皮の骨片はコブのたくさんついた紡錘型をしており、似ても似つきません。とはいえこんな小さなものがたくさん集まって、時には50cm近くもある大きさを支えていると思うとなんだかすごいですよね。それにアカヤギと呼ばれるヤギの仲間の骨は、名前のとおり、真っ赤な骨片をもっており、種類を調べるのも忘れて見入ってしまいます。

 ここまで骨片の話をしましたが、骨片の形がわかっても、それだけではヤギの名前はわからないことがほとんどです。全体の形、ポリプとポリプの間隔など、さまざまなところを調べてようやくわかるのです。よし!きょうはどのヤギを調べてみようかな(^.^)。
 ただ眺めているだけならとてもきれいなヤギの骨片。でもそれを顕微鏡で見分けて種類を見極めるのは一苦労。館内でヤギの仲間の魚名板をみかけたら、『きっとスタッフが頑張って骨片を調べたんだなぁ・・・』と思って、ぜひじっくり観察してみてくださいね。

フトヤギ
フトヤギ 表皮の骨片
フトヤギ ポリプの骨片
アカヤギ 骨片


 魚類展示課  園山 貴之
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