お魚探検隊
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第141回 「クマノミ飼育大作戦」

 みなさんはクマノミという魚をご存知ですか?カクレクマノミによく似たオーストラリア産の種が映画の主人公になり、一躍有名になった魚ともいえるかもしれません。その他にもクマノミ、ハナビラクマノミ、ハマクマノミ、トウアカクマノミなどたくさんの種類がいます。今回のお魚探検隊では、現在私が飼育に一喜一憂している温かい海の生きものコーナーにいる「クマノミ」についてご紹介したいと思います。
クマノミの生態
 クマノミはイソギンチャクをすみかにしていて、もぞもぞとイソギンチャクの中に入り込んでいく様子がよく観察されます。しかし、他の魚は、イソギンチャクに触れると「刺胞」とよばれる毒針で攻撃されてしまいます。それでは、どうしてクマノミは攻撃されないのでしょうか?
 それは、クマノミの体に秘密が隠されています。クマノミの体はクマノミが分泌した粘液で覆われていて、この粘液はイソギンチャクが分泌している粘液によく似ています。そのため、クマノミがイソギンチャクに触れても刺胞で攻撃されません。このようにして、クマノミはイソギンチャクをすみかにすることで外敵から守られています。しかし、守ってもらうばかりではなくて、エサをイソギンチャクに運んだりしています。エサを運んでいく様子は水槽内でもよく観察されますよ。
 また、クマノミは父親にも母親にもなれるのです!?なぞなぞのようですが、本当なのです!ひとつのイソギンチャクには、一般的に複数のクマノミが生息します。この中で、1番大きなクマノミがメス、2番目に大きいクマノミがオスで、残りのクマノミは繁殖にはかかわりません。この時にメスのクマノミを取り除くと、オスがメスへ、3番目に大きいクマノミがオスになります。このように、クマノミは父親にも母親にもなれるのです。現在海響館の水槽では、ひとつのイソギンチャクには多くても2匹のクマノミしかいないので、大きいクマノミがメスで小さいクマノミがオスになります。
クマノミ飼育大作戦
 ここまでお話ししてきたクマノミも、意外なことにまだ詳しく知られていないことがいくつかあるようです。そのひとつは、クマノミはいつからイソギンチャクをすみかにできるようになるのか?ということだそうです。実は、クマノミも生まれてすぐにイソギンチャクをすみかにできるわけではないようです。先ほどお話しした粘液がいつからできてくるのか詳しく知られていません。かくして、私は水槽に1匹しかいなかったクマノミに卵を産んでもらえるように新しいクマノミを加え、まず、卵が産み付けられて、その卵がかえるまでの様子や卵からかえってすぐのクマノミが成長していく様子を観察することにしました。
 つがいになったオスとメスはイソギンチャクの近くの平らな岩の掃除をして、卵を産み、産卵後はつがいで卵に水を送ったりゴミを取り除いたりと、こまごました世話をします。私は、卵がどのように成長していくのか調べるために、クマノミが卵を産んだその日から、毎日水槽に潜り卵を拝借しました。おかげで、一生懸命に卵の世話をするクマノミのつがいにとって、私はとんでもなくやっかい者になってしまいました。水槽に入るたびに、クマノミのつがいは卵を奪いにきた敵(私)に対して何度も何度も攻撃を繰り返してきました。
 そのようなクマノミの努力を無駄にせず(?)、私はクマノミの卵がどのように成長していくかを少しずつ知ることができました。水槽の水温が違えば卵が成長するスピードも変わってくるのですが、水温が24℃の時は、おおよそ10日前後で卵からかえるようです。
 これからは、卵からかえってすぐのクマノミが成長していく様子を詳しく調べていきたいと思っています。もうしばらく、私はクマノミのつがいにとってやっかい者でありつづけることになりそうです。
卵を産む前にキレイに岩を掃除するクマノミ(左:メス、右:オス)
オスとメスの間に見えるのが卵です
岩の上に約3000個もの卵をうみつけました
卵をねらう飼育員に攻撃するクマノミ
卵はひがたつにつれてどんどん魚の姿になっていきます。


 魚類展示課  徳田 大輔

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