お魚探検隊
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第139回 「一躍有名になったオワンクラゲ」

 2008年は、みなさんにとってどんな年でしたか。海響館では、これまで目立つことがなかった、ある生き物が突如として脚光を浴びた年でした。その生き物とは「オワンクラゲ」です!オワンクラゲ・・・どこかで聞いたことありませんか。実はこのクラゲ、2008年に下村脩氏のノーベル化学賞受賞に貢献した発光クラゲとして一躍有名になったクラゲなのです。何となく知っているけど詳しく知らない・・という方のために、今回のお魚探検隊ではオワンクラゲについてご紹介したいと思います。2009年は、いろんな水族館で展示されるようになると思われるので、ここで予備知識をもって見るとさらに面白いかもしれません。
オワンクラゲの生態
 オワンクラゲは、成長すると傘の直径が20cm程度まで達する、お椀をひっくり返したような傘を持つ半透明のクラゲです。傘の縁からは100本以上の細い触手を伸ばします。春から夏にかけて、日本各地で見られる種類で、下関周辺にも出現します。傘の中央に口がぶら下がっており、他のクラゲを丸呑みにします。また、発光するという特徴を持ち、刺激を与えるか紫外線をあてると、傘の縁が緑色に光ります。ノーベル化学賞を受賞した下村脩氏は、オワンクラゲのこの“発光する”という性質に着目し、研究を重ねていったのです。
オワンクラゲの生態
発光のしくみとノーベル化学賞
 オワンクラゲに刺激を与えると、GFP(緑色蛍光タンパク質)という物質の働きによって傘の縁が緑色に光ります。発光のしくみは次の通りです。GFPは、オワンクラゲの生体内で、イクオリンという別のタンパク質と複合体を形成していますが、このイクオリンが細胞内のカルシウムイオンを感知すると青色に発光します。この時のエネルギーがGFPに移ることによってオワンクラゲは緑色に発光するのです。
 下村脩氏は、オワンクラゲを研究材料として「GFPの発見と発光機構の解明」に成功し、その功績が認められ、今回ノーベル化学賞を受賞しました。さらに、GFPの分離・精製にも成功し、これを医療に役立てたのです。例えば、GFPをガン細胞に組み込むと、そのガン細胞が緑色の光を放つようになるため、転移などによる体内での動きを観察できるようになったのです。これは生命科学の分野で大きな発見となりました。
オワンクラゲの発光のしくみ
海響館での展示
 オワンクラゲは、春から夏にかけて出現するクラゲのため、2008年もその時期に展示を行い、その後はバックヤードと呼ばれる予備水槽へ移され、そこでひっそりと飼育を続けられていました。10月、そこへ突如としてノーベル化学賞の話題が飛び込み、急遽、展示再開となりました。しかし、この時期には野生のオワンクラゲが捕れないため、展示をできたのは海響館を含め、日本で3ケ所だけとなり一番ホットな時期に見ていただくことができました。
海響館での展示
 今年も春になるとオワンクラゲが出現し始め、海響館でも新たな個体の展示を行うと思います。日本各地で見られ、種類としては特に珍しいわけではないクラゲが'着目の仕方'によっては、世界的権威を持つノーベル賞に匹敵するような魅力を持っていたんだなぁ・・・と思いを馳せるとまた違った見方ができるかもしれません。
 2009年は、どんな生き物が私たちを楽しませてくれるのでしょうか。海響館には、素晴らしい魅力を持った生き物たちがたくさんいます!みなさんもちょっと視点を変えて観察してみると、面白い発見があるかもしれません!


 魚類展示課 小田都子

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