お魚探検隊
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第135回 「小さなクラゲたち」

 夏・・・といえばクラゲの季節。今年は各地で大量発生、被害のニュースが相次いでいますが、この犯人のほとんどは刺胞毒の強力なアンドンクラゲでしょう。
 クラゲというと刺すイメージが強いのですが、刺さない、あるいは刺しても痛くない種類も存在し、実にバラエティに富んでいます。当館ではこれまで、約50種類のクラゲを飼育してきましたが、今回は中でも当館の目の前、唐戸桟橋にてプランクトンネット(小さなプランクトンを採るための目の非常に細かい網)で採集することができた非常に小さく面白いクラゲをみなさんにご紹介しましょう。
 まずは、オオタマウミヒドラ。名前にクラゲとついていません。クラゲという生き物は多くの場合、浮かんでいる「クラゲ」と、岩などにくっついているイソギンチャクのような「ポリプ」という2つの世代を交互に過ごしています。卵が直接クラゲになるものもいますが、卵→ポリプ→クラゲ(本当はさらに複雑ですが簡略化しています)という一生を送っているものがほとんどです。ポリプのことをヒドラと呼ぶ種類があるため、こう名づけられました。ポリプよりもクラゲの方が大きい種類がほとんどですが、本種はポリプが非常に大型(といっても3cmほどですが)であるのが特徴です。クラゲは傘の直径が5mm程度にしかならず、海で見つけるのは至難の業です。 オオタマウミヒドラ
 シミコクラゲは冬に多く出現する種類です。傘の縁の平衡器(体のバランスを保つ器官)が赤い粒状なのが印象的です。本種は傘の直径が1cm程度しかありません。最大の特徴は、出芽により直接クラゲから稚クラゲ(子供のクラゲ)を作ることです。成熟した本種を飼育していると、1個体が次の日には3〜4個体に増えていて驚いたことがありました。
 同じく傘の直径が1cm程度のヤクチクラゲも、クラゲからクラゲを作ることができるのですが、その方法がすごい。なんと分裂により増えるのです。体の中央から2つに、たまに3つに裂いていきます。分裂した後に口柄(口)がないとエサを食べられず死んでしまうので、まず口柄を放射管(傘の中心から縁に向かって伸びている管)のあちこちに作って、必ず口柄を含むように分裂していくのです。
シミコクラゲヤクチクラゲ
 圧巻はベニクラゲ。口柄の根元がオレンジ色〜赤色をしており美しいクラゲですが、何と不老不死のクラゲなのです。たいていのクラゲは寿命が長くても数年といわれており、卵→ポリプ→クラゲ→卵・・・というサイクルを繰り返しています。しかしながら本種は、クラゲが成熟し退化し始めると再びポリプに戻る、つまり若返ることができるのです。卵を産むこともできますが、ポリプ→クラゲ→ポリプ・・・と同じ個体が生き続けるというわけです。永遠の命を持っているとは、なんとロマン溢れる生物なのでしょうか。 ベニクラゲ
 ここまで小さなクラゲたちを紹介してきましたが、これでもごく一部です。日本には約300種類のクラゲがいるといわれており、まだ続々と新種が発見されています。みなさん、小さなクラゲを探しに海へ出かけてみませんか。コップですくった水の中に未だ見ぬクラゲが泳いでいるかも。


 魚類展示課 西山 將行

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