| 下関にどんな種類の魚がすんでいるのか知りたいと思い、定置網に乗船し漁獲される魚を記録しています。定置網は響灘に面する下関豊浦町の地先水深約10メートルにあります。2001年から2007年までの7年間の間に月に3回程度乗船し、合計200回となりました。その結果、約300類の魚類を確認することができました。この魚の中には6年間で1度のみ確認した種もあれば、私自身が実物を生まれて初めて見た種や指をかまれたり、毒棘に刺さってしまい痛い思い出のある種までいろいろです。 |
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定置網に乗ってみると気温水温の変化はもとより、漁獲される魚たちにも季節があるのがわかります。すなわち下関の定置でそれぞれの季節になると現れる魚たちがいるのです。私自身が定置網で季節を感じる魚を紹介したいと思います。
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春
桜の開花予想などがニュースとなる3月。まだ若いアユの群れが定置網に姿を現します。大きさは10センチ程度。海で育ったアユはこの後、川をのぼり「川魚の女王」「清流の女王」といわれる立派なアユに成長していくのです。シロウオもやはり3月中下旬から出現しますが定置網では網目をすり抜けているようで数はごくわずかです。
漁獲で目立つのはメバルやクロダイです。クロダイは当地では'ちん'と呼ばれ成熟した良形で網が黒くみえる時もあります。コモンフグやヒガンフグの一才魚もやってきます。冬どこかに潜んでいたフグたちも季節の変化と共に餌を求めて移動してくるのではないかと思います。5月から6月頃海水面水温は20℃を越えます。リュウグウノツカイ・フリソデウオ・サケガシラを主体としたアカマンボウ目魚類はこの時期比較的よくみられます。
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夏
アジとトビウオの大漁となるのが夏です。アジが大漁の時には網を絞っていくと気泡がでるため、それとわかり、おのずと網を持つ手にも力が入ります。トビウオは'あご'のこと。初もののあごの刺身を食べるとこれからどんどん気温が上がっていくのだと実感します。海水浴シーズンを迎えるとサメの話題が新聞記事になるのを目にします。定置網ではシュモクザメが例年出現します。大きさは約1メートル程度のまだかわいい個体が多いです。イシダイ、イシガキダイ、メジナ(くろ)、アイゴ(ばり)、ニザダイ(さんのじ)、イサキ、ムツなどはまだ若い手のひら程度の大きさのものが網に入るため、大きくなってくれるよう願いながら放流します。
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ベラ類も夏の代表種です。オハグロベラ・ホシササノハベラ・キュウセンが主要種です。オハグロベラのことは'しょうやのばあ'と呼ばれています。語源はよくわかりませんが、夏は繁殖期でもあり雄は黒・紫・黄色を基調とした体色となり、これが年老いたおばあさんを連想したのかもしれません。アカカマス・ヤマトカマスも夏にまとまって漁獲される魚です。そのためカンカン照りの夏の太陽のもと短時間に一気に干して食べるのが主流です。'あかばな'ことカンパチの若魚は最初は小さいため放流しますが、日ごとに成長していき夏の終わりには刺身二人前程度になります。
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秋
最も魚種が豊富になるのが秋です。夏に姿を現した魚たちは成長していきます。大物のマダイやマアジが見られるのもこの季節です。タチオウがまとまって漁獲され、続いてサワラ(さごし)の群れもやってきます。タチウオとサワラを満載した時は右舷から左舷へ移動にも沈没するのではないかと気になってしまうほどの量です。台風の心配がなくなり海況が安定し10月から11月になると水温は20℃を下回るようになってきます。
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冬
モヨウフグやチョウチョウウオのような本来の生息域が南方種が暖流に流され姿を現します。例年現れるのがクロホシマンジュウダイです。大きさは20から30センチの個体です。東南アジアから輸入されてきた幼魚が'スキャットファーガス'の名前でヒメツバメウオやミドリフグと共に熱帯魚店の汽水魚コーナーでみかけることがあります。まさか下関の定置網で成長した姿を見ることになるとは思いもしませんでした。北日本を中心に分布するクサウオやソウハチが漁獲されるため、時には南と北の魚が入り乱れることもあります。
漁師さんを喜ばせるのがヒラマサです。'ばっちょ''こびら''ひらそ'などと呼ばれます。ブリよりもやや値がよいため見分け作業は重要です。ブリとヒラマサ、スズキとヒラスズキを瞬時に見分ける訓練には最適の季節です。季節風が吹き出漁できない日が増え、漁獲物がわずかな時もあります。漁獲物の中から探してしまうのがアナハゼです。そしてオスのアナハゼのご立派な生殖突起をついつい確認してしまいます。
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時折、ツムブリやヒレナガカンパチが獲れることがあるのは当地の特徴なのかもしれません。一度だけながら、ハタハタとマダラも網にかかり漁師さんもびっくりでした。これら魚類のうち、飼育できていない種は全体の約2割合。下関の海をまるごと再現できるよう一種でも多く飼育数を増やしていきたいと思います。今回は魚を対象にしましたが、定置網にはクラゲ、イカタコ、エビカニ、流れ藻、時にはイルカ、ウミガメ、海鳥まで漁獲されます。色々な生き物たちを近くでみることができる定置網をワンダーランドと感じてしまうのは私だけでしょうか。そのうちジンベエザメか巨大マンボウと対面できるのではないかと空想しながらこれからも定置網に乗船したいと思います。
(2008.4.13up)
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