| 国内でアベニーパッファーと呼ばれているこのフグはインド南西部に生息し、全長3cm程度にしか成長しないフグ科最小の種です。日本には1990年代より観賞魚として輸入されはじめました。ミドリフグや南米淡水フグに比べると、観賞魚としての歴史はごく浅いにもかかわらず全国のペットショップで最も普通に目にすることができます。 |
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これ程の人気の訳は、1)まず小さくてかわいい2)遊泳動作などのしぐさがかわいい3)性格が比較的温和4)訴えるような表情でガラス越しにこちらをみるなどなど・・・。お手頃価格・淡水でも大丈夫ということもあって熱帯魚をはじめて飼育する方やフグの飼育入門種として独自の地位を築いてしまったのでしょう。多くの飼育例の中には繁殖に成功した例もあるようです。海響館での事例を紹介したいと思います。
2006年1月より60センチ水槽にてオス7個体メス10個体(雌雄判別は繁殖後に確認)水温25〜26℃にて飼育を行いました。産卵のための環境作りとしてアヌビアスナナ、ウィローモスと流木を組み合わせ、底砂はなしにしました。底砂をなしにするのは日常管理と採卵を行い易くするためです。餌はアカムシ、ブラインシュリンプ、イトミミズを1日1回飽食になるよう与えました。 |
5月下旬より約50日間産卵がみられました。産卵時刻は16時から19時頃に行われ、日中よりオスがメスを追尾する行動が観察できました。1回の産卵数は5個程度、これを数日間隔で数回繰り返すと思われます。複数のメスが産卵しましたが、産卵と同時に別のメス(卵でお腹が膨らんでいる)による卵食が観察されたのが印象的でした。卵保護はないようでしたので卵を水ごと取り上げ産卵箱に隔離しました。
卵は球形の沈性粘着卵で大小の油球をもちます。卵径は約1.4mm。産卵3日後赤い色素がはっきりとみられるようになり、産卵5日後孵化に至りました。孵化せずに卵がカビによって白くなることもありました。孵化仔魚全長は約3.1mm。体に鮮やかな朱色のような赤い色素を持つのが特徴です。孵化から孵化5日後までは水底でじっとしていることが多く、この期間に開口、卵黄吸収などの発育がすすみます。孵化6日後には泳ぎだし、アルテミアノープリウス幼生を食べました。またもう一人前にお腹を膨らますことができ、顕微鏡で観察すると小さな棘が形成されていました。孵化25日後からイトミミズをはさみで切ったものを与え、孵化72日後からはアカムシなど親魚と同じ餌で飼育することができるようになりました。全長が1cmを超えたのは孵化55日後、2cmを超えたのは孵化210日後でした。アベニーは小さな体から大きな卵を少量産卵する繁殖形態をもつことがわかりました。実はこの対極に位置するのが同じフグ目のマンボウです。また、アベニーの孵化仔魚はどうして赤いのでしょうか?遊泳力を持たない時期における環境に溶け込むための擬態?なのかもしれません。アベニーの繁殖を通していろいろなことが思い巡らされました。今回繁殖育成できたのは二人の飼育スタッフの力によるものでした。繁殖のための秘策などありませんが、アベニー母さんとして日々愛情を注ぐことが大切であることを立証してくれました。
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