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第100回 山口県日本海沿岸のフグ目魚類


 下関から長門沿岸にかけての海域をここでは山口県の日本海沿岸域とし、確認できたフグ目魚類を紹介します。
 海響館は2001年4月に開館し、この海域での魚類をはじめとする展示水族の収集は、2000年10月から開始しました。収集と共に漁獲される生物の記録も行いました。2006年4月現在までの5年6ヶ月の期間で定置網、底びき網などの沿岸漁業で漁獲される魚類相がだんだんと判って来ました。海響館の展示として重要なグループであるフグ目魚類のうち、確認できたのは38種になりました。
 また海響館では採集例はないものの、過去の資料より報告されているのは6種、長門青海島でのダイバーによる観察にて生息が確認されたのが4種います。これら10種をあわせ、8科25属48種になりました。世界中には10科100属約340種のフグ目魚類が知られています。このうち約14パーセントの種が山口県日本海沿岸に生息していることになります。

ベニカワムキ科1属1種>ベニカワムキ
ギマ科1属1種>ギマ
モンガラカワハギ科3属4種>キヘリモンガラ・ツマジロモンガラ・メガネハギ・アミモンガラ
カワハギ科8属9種>ウスバハギ・ソウシハギ・アオサハギ・ハクセイハギ・アミメハギ・ウマヅラハギ・ヒゲハギ・カワハギ・ヨソギ
ハコフグ科2属4種>コンゴウフグ・テングハコフグ・ミナミハコフグ・ハコフグ
フグ科6属24種>キタマクラ・ヨリトフグ・ヒガンフグ・ショウサイフグ・ナシフグ・マフグ・コモンフグ・シマフグ・ムシフグ・ゴマフグ・クサフグ・トラフグ・シッポウフグ・ホシフグ・モヨウフグ・ケショウフグ・サザナミフグ・コクテンフグ・クマサカフグ・カナフグ・センニンフグ・ドクサバフグ・クロサバフグ・シロサバフグ
ハリセンボン科2属3種>ハリセンボン・ネズミフグ・イシガキフグ
マンボウ科2属2種>ヤリマンボウ・マンボウ
 これらのフグ目魚類のなかで、2005年から2006年にみられた特徴的な種を紹介します。
コンゴウフグ(ハコフグ科コンゴウフグ属) Lactoria cornuta
 2005年1月16日下関市豊浦町室津地先定置網にて全長約16センチの個体の入網がありました。ハコフグ科の仲間では、ハコフグ、ミナミハコフグの幼魚が生息しています。そして、テングハコフグ(2002年12月3日長門市三隅野波瀬地先定置網にて1個体)に次いで4種目となりました。
キタマクラ(フグ科キタマクラ属) Canthigaster rivulata
 2005年7月8日下関市豊浦町室津地先定置網にて全長約10センチの個体の入網がありました。キタマクラは房総半島以南に分布するフグ科魚類です。太平洋岸の港ではごく普通にみかけることができます。日本海ではその数はぐっと少なくなります。それでもすでに確認例はあったためそのうちきっと下関でも出会える種と思っていました。足掛け5年にしてついに採集となりました。
モヨウフグ(フグ科モヨウフグ属) Arothron stellatus
 2006年1月8日長門市三隅野波瀬地先定置網にて全長約15センチの個体の入網がありました。お腹の模様が成長に伴い変化します。暖かい海を主な生息域としています。山口県には今回のような幼魚が現れることがあります。対馬暖流にのりやって来たのではないでしょうか。
イシガキフグ(ハリセンボン科イシガキフグ属) Chilomycterus reliculatus
 2006年1月27日下関市武久海岸にて全長約21センチの個体が採集されました。
この季節響灘には北西からの季節風よって時化の日が多くなり、漂着物も増えます。ハリセンボンが漂着している姿も目にすることがあります。
ヤリマンボウ (マンボウ科ヤリマンボウ属) Masturus lanceolatus
 2005年1月14日下関市武久海岸にて全長152センチの個体が死亡漂着しているのを確認しました。マンボウ・ヤリマンボウは例年12月から2月頃にかけて定置網に入網します。漂着や衰弱して漂っている事例はマンボウではないため、ヤリマンボウの特徴のようです。この個体、誰かが包丁で切ったのでしょうか?
 これらの情報は海響館スタッフのみならず、地元の漁業者、水産関係者の皆さんをはじめ一般の方などなど多くの方々から連絡を頂きわかってきたものです。
イシガキフグは武久海岸を散策していた魚類展示課スタッフ落合によって採集されました。
 ツマジロモンガラ・メガネハギ・アオサハギ・ミナミハコフグの情報はダイビングショップシーアゲインの小滝美紀さんより教えて頂きました。山口県の海の日々の様子がわかるホームページを運営されています。
 ケショウフグ・コクテンフグ(ヨゴレフグ)の情報は多部田修長崎大学名誉教授より教示頂きました。

 ここに紹介した種以外にも山口県にはまだまだフグたちが生息していることでしょう。山口県瀬戸内海側からはアザミカワハギ・イトマキフグ・ハマフグがすでに確認されています。山口県の海の生き物の情報をこれからも集めて行きたいと思っています。

[2006.5.6]

 魚類展示課 土井 啓行

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