イルカ・アシカ情報

第235回「イルカの鼻のふしぎ」

 イルカの頭の上には「噴気孔」という人で言うところの“鼻の穴”にあたる穴があります。イルカの噴気孔は水中生活に適応した形や仕組みを持っています。(以下、イルカの呼吸器を「鼻」と表記しています)

 1つ目! 泳いでいる時は閉じます

 泳いでいる時には噴気孔は閉じていて鼻の中に水が入らないようになっており、呼吸する時だけ噴気孔が開きます。

 2つ目! 音を出すことが出来る

 ショー中にイルカが出す様々な音や、水中のガラス越しに聞こえる「ピーピー」という音(ホイッスル)や「ギギギギギ」というドアがきしむ様な音(クリックス)も鼻の一部分を震わせて出しています。私たち人は、のどにある声帯を震わせて音を出していますが、イルカに声帯はありません。イルカは音を利用して餌を探したり、イルカ同士コミュニケーションを取ったりしています。

 3つ目! 匂いを感じることができない

 一方で失われた機能もあります。バンドウイルカやスナメリなどのハクジラ亜目では匂いを感じ取る細胞(嗅覚上皮)がないといわれています。このためイルカの鼻は匂いを感じることができないと考えられています。

 4つ目! 鼻は真ん中よりも左側にある。

 噴気孔の位置をよく見ると、真ん中(青い線)よりも左側にあります。わかりやすいようにバンドウイルカの頭の骨も見てみましょう。矢印の先、丸で囲った部分が人の鼻筋にあたる骨、鼻骨(びこつ)です。

 この鼻骨も真ん中よりも左側にかたよっています。さらに右の鼻骨の方が大きくなっています。これはバンドウイルカなどのハクジラ亜目に共通して見られる特徴です。鼻を使って音を出すことに関連しているのではと考えられていますが、なぜこのような骨の構造になっているかは研究途中のようです。

 イルカは私たち人と同じ哺乳類ですが、鼻を比べてみると私たち人とは違う点がたくさんありました。イルカは水中生活に適応するための様々な進化をしているんですよ。

海獣展示課

工藤 健仁

2022年01月12日