イルカ・アシカ情報

第210回「スナメリの新しいおもちゃ製作中」

 海響館のスナメリプールを見ると、プールの中にボールが入っていることがあります。そして、スナメリたちはそのボールを頭で押したり、ボールに向かって水を吹いたりと色々な使い方をしています。これは水槽内での生活環境を豊かにするための一つで、このようなおもちゃのことを私たちは「ED(Enrichment Device エンリッチメント デバイス)」と呼んでいます。環境エンリッチメント(Environmental enrichment)は、「動物福祉の立場から、飼育動物の“幸福な暮らし”を実現するための具体的な方策」と定義され(市民ZOOネットワークより)、EDはそのための道具や装置などを指します。

 今回はスナメリへの新たなED作りについて紹介します。EDを作る上で気を付けるポイントは、動物にとって安全であること・壊れにくいこと・動物が興味を持つことです。

 現在製作しているものは、スナメリの興味を強く引くために彼らの習性を利用したものとして考えました。野生のスナメリは、砂の中に潜む生き物に水を吹きかけて、出てきたところを捕まえることがあります。そこで今回のEDは、スナメリが水を吹いてエサが出てくる仕組みとしました。写真はその試作品です。筒の中には段々に仕切りを取り付けており、それぞれの仕切りの横に穴を開けています。一番上の仕切りにエサとなる魚を入れ、あとはスナメリたち任せ。スナメリが筒の穴に向かって水を吹くと、その水流で中の魚が動き、徐々に下に落ちて最後に筒の下から出てくるという仕組みです。先日、私たちの想定通りにいくのか確かめるため、試作品ができたところで実際にプールに沈めてテストをしました。すると、スナメリは筒の中のエサの魚に興味を示し、水を吹いてくれました。しかし、このテストではスナメリが筒に向かって水を吹くものの、魚が筒の中で上手く動かず落ちないことがわかりました。

 簡単にエサが取れてしまったら、効果的なEDではなくなりますし、何度やってもエサが取れなければ途中であきらめて興味を示さなくなってしまうでしょう。程よい難しさでスナメリがエサをゲットする、そうなるようこれから筒の中の仕切りの形や穴などを調整していきます。完成は間近です。スナメリたちの生活が豊かになるように、私たちは日々アイデアを練っているのです。

海獣展示課

鍬崎 賢三

2019年11月07日