イルカ・アシカ情報

第209回「トレーニングのお役立ち棒」

 アクアシアター中や終了後にトレーナーが何やら長い棒を使っていることがあります。この棒は「ターゲット」と呼び、その名の通り目標物として使うもので動物のトレーニングでとっても重要な役割を果たしているんです。今回は、このターゲットを使ったトレーニングの一例を紹介しましょう。

 写真は、バンドウイルカの「パッチ」とテールウォークというパフォーマンスのトレーニングを行っているところです。

 テールウォークとは、イルカたちの尾ビレの力強さを感じてもらうパフォーマンスで、尾ビレの力で水面上に体を持ち上げ、立ち泳ぎのまま進むというものです。

 まずは前提として、初期のトレーニングでイルカはトレーナーの手にもターゲットにも吻(口先)をタッチすることを理解していると頭に置いておいてください。

 テールウォークは、最初その場でトレーナーの手に吻をタッチした状態で、尾ビレを使い垂直に体を支えるところからスタートします(写真①)。この時パッチにとってはトレーナーの手が目標物となります。その後、徐々にトレーナーが手で誘導し前へと進んでいき、その先に「ターゲット」を示します。最初は短い距離で行い、ターゲット先端の白い所に吻(口先)が触れたら魚をあげてほめるということを繰り返すことで、白いところに自ら移動しタッチすればいいと学習します。そして、写真②のようにターゲットまでの距離を徐々に遠くしていくことで、立ち泳ぎで進む距離が伸びていくのです。あとはターゲットを見せることを少なくしていき、最終的にパッチが立ち泳ぎで進むことを理解すればテールウォークの完成です。

 このように、トレーナーが求めることを動物に分かりやすく伝える手段の一つとしてターゲットを使います。現在行われているアクアシアター(イルカとアシカの共演ショー)では、トレーニングの様子を皆さんに紹介する場面もあるので、ターゲットの使い方やトレーニングをどのように進めているかなどに注目してみるのもおすすめです。

海獣展示課

高橋 紘香

2019年09月26日