イルカ・アシカ情報

第197回「良いパフォーマンスは姿勢から」

 水族館で行われるイルカのショーの中で、皆さんが一番見ている「動物の行動」は何ですか?パッと思い浮かぶのが迫力のあるジャンプや、可愛らしく胸ビレを振る、力強く尾ビレを振る行動などではないでしょうか?実は、ショーの中で一番多い行動は「ステイション」なんです。

 海響館では、イルカのステイションを「トレーナーが指定した位置にリラックスした状態で垂直姿勢を保ち、トレーナーに集中し、すぐにサインに反応できる状態」と定義しており、ステイションも動物の一つの行動として捉えています。そして、このステイションは動物のモチベーションを測る一つの指標にもなります。

 トレーニングやショーに対してモチベーションが高い状態(写真①)だと、ステイションの姿勢が良くトレーナーに集中しているため、キューに対する反応が良かったり、その行動のクオリティも高くなったりすることが多くなります。しかし、モチベーションが低いと、体を傾けたり(写真②)頭をふらふら動かしたりと、ステイションとしては求めていない行動が生まれやすくなり、トレーナーにもあまり集中せず、その後のキューに対する行動のクオリティも低くなりがちです。そのため、トレーナーはステイションの状態をよく観察し、動物の内面の状態を推し量ります。傍目には、ただトレーナーの前にいるだけに見えるステイションという行動に対しても、エサのあげ方や行動の選択などを工夫し常に変化をつけることで、動物が高いモチベーションを維持できるように、そして良いステイションの状態が維持できるようにしています。

 ステイションは当たり前に行っているように見えて、実はとても大切な行動の一つなのです。

海獣展示課

墨 則和

2018年10月10日