イルカ・アシカ情報

第194回「おかえり、パール」

 平成27年5月からブリーディングローン(繁殖を目的とした貸し出し)のため兵庫県の神戸市立須磨海浜水族園に行っていたメスのバンドウイルカ「パール」が、3年ぶりに海響館に帰ってきました。

 久しぶりにパールと再会できるという喜びと同時に心配事が2つありました。1つ目は、パールが居なかった平成28年に海響館ではイルカの出産があり、2頭の新たな仲間が増えたので、2歳になる子イルカたちとパールは仲良くやっていけるのか?ということ。そして2つ目は、海響館のトレーナーがイルカたちに使っている合図(キュー)は覚えているのか?ということでした(水族館によって違うので)。

 1つ目の子イルカとの初対面では、心配していたのとは少し違い、パールや子イルカよりもお母さんイルカがパールを警戒し、パールが子イルカに近付かないように威嚇するような行動も見られました。お母さんイルカの「ラナ」と「アルカ」は海響館がオープンする前(平成11年)からパールと一緒に生活してきましたが、子供を守る母親としての気持ちの方が勝ったようでした。それでも、さすがに知った者同士ということでしょうか。パールが何もしないことが分かるとお母さんイルカの警戒心は徐々に解けていき、徐々に元通りの関係性に戻ってきています。

 2つ目の海響館のキューは覚えているのか?という心配事について、実はそれぞれの水族館によって同じ行動(例:ジャンプ)でも使っているキューは違うのです。つまり、パールは須磨海浜水族園に行っている時には、須磨海浜水族園のトレーナーが使っているキューを理解し、海響館に戻れば海響館のキューを思い出すことになります。3年間というブランクがあったので、もちろん私たちはパールの様子を見ながらゆっくりと思い出してもらおうと思っていたのですが、そんな心配をよそにパールは海響館のキューをほぼ覚えていました。これには、“アッパレ”の一言に尽きます。

 今回、パールにとって初めて別の水族館で3年間過ごせたことは、素晴らしい経験となったことでしょう。また、私たちスタッフにとってもパールを通して飼育方法やトレーニングについて須磨海浜水族園のスタッフと情報交換ができたことは非常に勉強になりました。そしてパールが戻ってきたことによって、動物にも私たちトレーナーにも良い刺激となっています。今後は、パールが日々の生活を健康で楽しく過ごせるように色んなことに挑戦していきたいと思っています。

海獣展示課

河村 景子

2018年07月07日