ページ Vol.93 「テンテン」ウツボ タタキが一番 福井 正嘉 2004/8/17(tue) 【vol.93】
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「テンテン」ウツボ  タタキが一番

 サンゴ礁水槽前でのこと。
ニセゴイシウツボをイール(ウナギ)という欧米人風の男性、それはウナギとは違うと言ってはみたが、件の男性は憮然とした顔をしている。とっさにウツボの英名が出てこなかったのはこちらの不勉強であった。
 しかしよく考えてみるとウツボは「ウナギ目ウツボ科」の魚。
英名はモーレイ・イールというらしいから男性がイールと言ったのは間違いではなかった。
気持ちとしては、イールはうなぎの蒲焼のイメージが先行する日本人の私は、あのいわゆる蒲焼になるウナギではないと言うつもりであった。
ブロイルされたウナギといってもあの蒲焼を食べたことのない文化圏の人には蒲の穂から説明しなければわからなかったかもしれない。ウツボとウナギは日本語ではイメージがだいぶ違うのだが。
次回はウナギの蒲焼を上手く説明できるようにしておきたいものだ。

 しかし蒲焼はうなぎの専売特許ではないらしい、冬のウツボの蒲焼は相当美味で、ある料理の本ではウツボ料理の代表格はうなぎのようにタレをつけて焼く蒲焼なのだそうだ。
 
 魚の地方名とか料理方法は地域色があるので来館者から教えていただくことが結構多い。
ご近所の人に進められて来館したという高知からの3人ずれ中年婦人に「高知ではウツボを食べると本にありましたが料理方法は蒲焼ですか」と聞けば「ウツボはタタキが一番」と3人が声を揃えて言われるのだから南国土佐ではこの料理方法が一般的なのだろう。

 ところで、古代ローマのナポリではヘレンウツボが好んで食べられていたらしい。
ポンペイのモザイク壁画にも色んな魚介類が出てくる。その中に明らかにウツボとおぼしき姿の魚が描かれている。
食文化が異なれば同じものを見ても受け取り方がちがってくる。古代ローマ人はあのウツボをみて美味しそうと思ったのであろう。日本人がウナギを見て思うのと同じことを思っていたのかも知れない。
蒲焼にしていたかどうかは知る由もないが、多分タタキにもしていのではないだろうか。

 親子連れ 3歳、2歳の男の子 両親はすぐにウツボの居場所がわかった。それをお母さんが3才の長男に教えるのだがこれがなかなか難しい。兄はやっとわかった あの「テンテン君」かと 今度は彼が2歳の弟に教えるのだが、弟はあらぬ方向を見て探している。水槽内でじっとしているウツボでもサンゴの擬態をしているようなので見つけるのは難しい。黒い斑点が身体一面のニセゴイシウツボをテンテン君と称した彼は今まで覚えた語彙を最大限に使って表現したのであろう。
お母さんの「あそこ、あそこ、あれあれ」と言う表現より(ウ)ツボを得ている。

 それにしても今年の夏の暑さは格別、日本列島は連日ボイリングホット状態、土用にウナギを食べただけではこの暑さを乗りきれそうにない。
タタキが一番と言われたサンゴ礁水槽のウツボを見ていても食欲が出てこない今年の猛暑である。
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