ページ Vol.56 食うか食われるか?  大西 一實 2003/5/22(thu) 【vol.56】
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・・・と云っても以前紹介した人喰い鯰ジャウーの話の続きではありません。
 水槽の生き物を食材として見たら・・・といういささか不謹慎なお話です。でもお客様をご案内していると「これ食べられますか?」というご質問が結構多いんですよ。

 その筆頭がマンボウ。この辺りでは余りなじみがないし、食欲をそそるような姿でもありませんから「東北地方では魚屋さんでも売ってるそうですよ」と説明すると驚かれる方のほうが多いようです。私も食べたことなどないくせに食通のお客様の話や本でかじった知識で「酢の物か酢味噌で食べるとおいしいそうです」などと「耳年増」ならぬ「耳グルメ」ぶりを発揮しています。念のためインターネットで検索したら三陸のレストラン「まんぼう亭」のホームページで「まんぼう定食」というメニューが出ていました。東北観光においでの折は是非トライしてみて下さい。

 では同じフグの仲間でもあの愛嬌者のハコフグは?「コンクリートのように固い殻で被われておまけにその殻から毒を出します」と聞いただけで食べられそうにないと思われるのか「この殻を割ってネギと味噌を詰め込んで殻ごと焼いて食べると大変美味!」という説明には大抵の方がびっくりされます。これも勿論私の耳グルメですから、実際にこんな料理を目の前にしたら一寸びびってしまうかも・・・

 それでもこのあたりまでは普通のひとの感覚で一応食材として納得できる代物なんですが、このテーマになるとどうしてもゲテ物的なものに言及しない訳にはいかないようで・・・例えばあの熱帯雨林水槽にいるピラルクーなどは如何でしょうか。さすがに「食べたことがある」とおっしゃるお客様にはまだお会いしたことがありませんが、現地の人達にとっては重要な蛋白源だそうで、アマゾン探検中その「郷土料理」をご馳走になった人の本には「マグロとサメとスルメをミックスしたような味」という不思議な評価がありました。

 食べるなどといっただけでも大目玉を喰らいそうな禁断の味が天然記念物のオオサンショウウオ。日本国某県の「現地の人達」は以前食用にしていたそうで、その某県から来たお客様が「トリのササミに似て大変美味でした」と、こっそり教えてくれました。味は見かけじゃわからないという見本でしょうか。

 反対に、見かけも味も・・・と不評なのはカブトガニ。ある本に「タイのレストランでメニューにあったカブトガニ料理を注文したら、出てきたのは大皿に乗ったカブトガニの姿茹で!肉なんか殆どなく卵を食べたら生臭くて食えたものではなかった」と、ありました。カブトガニについては生息地の多い山口県のことですから、以前食べたことがあると云う「現地の人」にも何人かお会いしましたが、「美味しかった」という評価はゼロ。でもおいしくなかったのはカブトガニ本人にとってはラッキーだったのでしょう。もしあれがキャビアのような珍味だったらカブトガニはとっくの昔に「生ている化石」の呼び名を返上していたかも知れませんからね。

 舌で味わう水族館のお話いかがでしたか?勿論海響館にはこんな特別な「珍味」ばかりでなく、トラフグ、タイ、ヒラメなど正真正銘の高級食材もいっぱいですから、次回お越しの際は一度グルメの視線で水槽を覗いて見られることをお勧めします。



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