お魚探検隊

初めての海藻採集

 皆さんは「水族館スタッフの仕事」と聞いて何を思い浮かべますか?多くの人が生き物にエサをあげたり、ショーを行ったりしている場面を思い浮かべたと思います。新人の私も水族館のスタッフを目指し始めた頃は同じことを考えていました。もちろんこれらも大事な仕事の一つです。しかし、この他にも皆さんに素敵な水槽で生き物を見ていただくために水槽の掃除をしたり、解説の為のパネルを作ったり、生物を採集したり、展示のレイアウトを考えたり…と様々な仕事があるのです。そこで今回は、様々な仕事の中でも私が初めて行った海藻採集についてお話していきたいと思います。「なぜ海藻採集?」と思った方もいると思いますが、実は海響館の水槽は生き物たちの生き様を再現するために生き物だけではなく水槽内の環境づくりにも力を入れています。私の担当する3階の「つめたい海のフグ水槽」もその一つです。

 

 

 この水槽では色鮮やかなフグの仲間を展示していますが、フグの仲間の他にもある生物がいるのです。その生物とは…そう海藻です!この水槽にいるフグたちはオーストラリア南部の藻場と呼ばれる海藻の生えている場所で見られることがあります。そこでこの水槽ではその環境の一部を再現するために海藻を展示しています。しかし、環境の再現と言ってもオーストラリアに行って海藻を採集してくるのは難しいため、日本に生息している近い種類の海藻を採集し、展示しているのです。

 

 海藻採集は6月某日、下関のとある海で行いました。

 

 

 様々な海藻の生えている藻場は生き物たちの産卵や子育ての場として利用されることから「海のゆりかご」とも言われており、沢山の生物が生息しています。ちょうどこの時も魚の群れに遭遇することが出来ました。

 

 

 展示用に採集する海藻は水深2~3mの場所に生育しているので、海藻採集は潜って行います。

 

 

 展示用の海藻は付着器(※付着器:岩に張り付く部分)で石や岩などの基盤についており、そこから採るのですが、慣れていない私は生い茂っている海藻の中から付着器を探し出すのにとても苦戦しました。結局、初めての海藻採集は1時間ほどチャレンジして数株しか採集できませんでした。海藻採集マスターへの道のりはまだまだ険しいようです…。

 

 さて、水族館の展示スタッフの仕事は海藻を採集して終わりではありません。採集した海藻を水族館に持ち帰って水槽に展示するのが本当の目的です!閉館後の水槽に潜り、どの場所にどのように配置するのが効果的なのかを考えながら採集した海藻を展示していきます。海藻の設置が終わった水槽を見てみると…心なしか魚もイキイキしている様で、早速展示した海藻の間に入っていく魚たちを見ることができました。

 

 

 初めての海藻採集は苦戦しながらも無事終えることができました。海響館に来館された際には是非「つめたい海のフグ水槽」をじっくり見てくださいね!!

 

魚類展示課 宮澤萌

2020年10月27日