お魚探検隊

パネルの工夫

 皆さんは、水族館の水槽の中で生き物を観察して、何を感じ、何を発見するでしょうか。

 

 海響館の飼育展示スタッフは、生き物の飼育だけではなく、水槽の周りにある解説パネルなども製作しています。担当のスタッフが、様々な方法でその展示で伝えたいことを解説しているので、今回はそんなパネルの話をしましょう。

 

 まず、水槽の横には、そのテーマを解説した大きなパネルがあります。フグの世界、サンゴ礁の生き物などの展示水槽のテーマごとの解説は、その水槽を広く捉えて、イメージしやすい画像と文章を用いて解説しています。

 

 一方、このパネルはどうでしょうか。文章はほとんどなく、写真ばかりです。

 

 

 実はこの解説は、来館者の反応を見て工夫して作ったものです。この水槽で展示しているのは、オーストラリア産のポーキュパインフィッシュと、サザーングローブフィッシュです。両方ともハリセンボン科の魚類ですが、順路が正真正銘のハリセンボン水槽よりも手前にあるため、来館者がこの水槽を見て出る言葉は、ほとんどが「ハリセンボン!」です。

 

 

 たしかにハリセンボンの仲間で、とても似ていますが、

 「ハリセンボン」ではないのに。。。。

 違いを説明すると、長い文章が必要。。。

 長い文章だとなかなか読みにくい。。。。。

 皆さんならどうしたらよいと思いますか?

 

 実は、このパネルはハリセンボンとの「違いを説明している」パネルではなく、ハリセンボンとの違いを「気づいてもらいやすい」を目的に作ったものです。タイトルを「ハリセンボン?」とすることで、ハリセンボンとは違うの?と思わせています。そして、3種を比較しやすいように同じ体の一部の画像を並べています。こうすることで、どこが違うのか、文章を読むのではなく(誰かから説明するのではなく)、来館者自らが気づくことができます。

 

 皆さんも、誰かから教えられたことと自分で発見したことを比べると、自分で発見したことのほうがはるかに頭に残りやすいという経験があるのではないでしょうか。また文字がほとんどなく、専門用語もないので、小さなお子様でも見ることができます。3種それぞれの違いを見つけ、一番下の世界地図に18種の文字があることで、世界に18種が分布していることに気づいてもらえればと思っています。

 

 このパネルを掲示した後に、来館者の反応をこっそりのぞいてみました。これまでと同じで「ハリセンボン!」という声も聞かれますが、パネルを見て考える方、パネルと実際の魚とを見比べる方が明らかに増え、「ハリセンボン!」だけで終わらないようになったのではないかと感じています。

 

 こちらが考えていることすべてを来館者に伝えるのはなかなか難しいですが、すぐに見て終わりではなく、考えるきっかけになるようなパネルをこれからも作っていきたいと思います。皆さんもどのようなパネルがあるか是非見に来てください。パネルの向こうにスタッフの思いを見ることができるかもしれませんよ。

 

魚類展示課 園山貴之

2019年12月25日