イルカ・アシカ情報

第171回 「新たなる挑戦」

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最近、スナメリのひびきに新しいトレーニングを始めました。それは人工繁殖に向けた精液採取のトレーニングです。海響館では、これまでにスナメリの血液から性ホルモン濃度を検査し繁殖時期を調査したり、光周期と性ホルモン濃度の変動との関係を調べる研究など、スナメリの繁殖生理の研究を行ってきました。これらは当初から人工繁殖を最終目標として進めてきたもので、今回次の段階として精液採取のトレーニングを始めたというわけです。
精液採取とは文字通りスナメリの精液を取ることです。流れとしては
①ひびきが生殖器を体外に出す(水中で生活している鯨類は、水の抵抗を減らすため生殖器は生殖孔という溝に収納されています。)
②射精させる
③精液を採取する
と、たったこれだけ(※実際には採取後の精液の保存もとても重要になりますが)。しかし、それをトレーニングして自発させるというのがなかなか難しいのです。どのようなトレーニングの手順が良いのか試行錯誤した結果、今回はひびきが同居個体に生殖器を出す行動が見られていたので、その行動を利用して同居個体から目標物に向かって生殖器を出すことを理解させるようにトレーニングすることにしました。まだまだトレーニングを始めたばかりでうまくいくのかわかりませんが、ひびきの子供に会える日を夢見てスタッフ一同トレーニングに励みたいと思います。トレーニングは1日3回ある「スナメリのプレイングタイム」前後の時間に時々行っていますので、皆さんも目にすることがあるかもしれません。
ちなみに、瀬戸内海にすむスナメリの繁殖期は春といわれており、ひびきの性ホルモン濃度が高まるのも春。ということで、来春には精液が採取できることを目標に今からしっかりとトレーニングを進めていきたいと思っています。

 

海獣展示課
牧江 智世

2016年06月18日